「なんで叩いちゃうの?」「どうして順番を守れないの?」。
3〜6歳の子育てで、こんな場面が続くと親も疲れてしまいますよね。
じつはこの時期の子どもは、「自分と他人はべつの人間だ」という感覚がまだ育ちきっていないんです。
心理学の子どもの心の育ちの考え方では、子どもは3歳ごろから「自分は自分、他人は他人」という感覚を少しずつ身につけていくとされています。
この時期の関わり方しだいで、子どもの「自分と他人を区別する力」は大きく変わります。
この記事では、3歳の子を育てるパパの目線で、自分と他人を区別する力を育てる5つの関わり・やりがちなNG3つ・年齢別の早見表・よくある質問7つまでを、やさしくまとめました。
読んだその日から使えるように、むずかしい言葉は使わずにお伝えしますね。
主体性・自立心シリーズで「主体性・区別・自律」の3つを育てる
- 【主体性編】被害者意識をなくす5つの声かけ
- 【区別編】本記事:自分と他人を区別する力の育て方
- 【イヤイヤ期編】イヤイヤ期を味方にする親の関わり
なぜ「自分と他人の区別」が大事なの?|3〜6歳に育つ大切な力
子どもの心の育ちには、よく知られた道すじがあります。
むずかしい理屈は抜きにすると、中身はとてもシンプルです。
赤ちゃんは0歳のころ、「ママと自分はひとつ」という感覚で生きています。
そこから3歳ごろまでに、「自分はママとはべつの人間だ」という感覚を少しずつ育てていきます。
これは「体が離れること」と「心が自分になること」が、同時に進んでいく過程です。
とくに3〜6歳は、この「自分になる」動きが本格的になる大切な時期なんですね。
もう一つ、大事なことがあります。
それは、「自分と他人の間には境界線がある」という感覚は、ほうっておいて自然に育つものではないということ。
つまり、毎日の関わりの中で少しずつ積み上げられていくものなんです。
とくに大事なのは、「気持ちに名前をつけてあげること」。
そして「相手の気持ちを想像させること」。
さらに「『わたし』『あなた』を使い分けて話すこと」です。
この3つがそろうと、子どもは「自分の気持ちと相手の気持ちはちがう」と実感できるようになります。
核心:自分と他人を区別する力は3〜6歳に集中して育ちます。鍵は『わたし』『あなた』を使い分ける・気持ちに名前をつける・相手の気持ちを想像させる・親が境界線を見せる・失敗した時に区別を教えるの5つだけ。
親がやりがちな3つのNG関わり
NG1. 「みんな仲良く」ですべてを解決しようとする
「お友達だから貸してあげて」「みんなに優しくね」だけで済ませてしまう。
これを続けると、子どもは自分の気持ちをがまんするクセがついてしまいます。
この時期に「自分はこうしたい」と主張するのは、心が順調に育っている自然なサインです。
「自分の意見を持っていい」「人とちがってもいい」を親が認めてあげましょう。
認めてもらえないと、子どもは自分の気持ちが分からない子に育ってしまいます。
これは個性編の「そのままで素晴らしい」とも重なる考え方です。
NG2. 「あなたも我慢しなさい」で全部を平等にする
きょうだいがケンカしたとき、両方に「どっちも我慢」と言っていませんか。
これは、「自分の気持ちをちゃんと分かってもらえた」という体験を奪ってしまうNGです。
この時期に気持ちを受け止めてもらう経験こそが、「自分は自分」という感覚の土台になります。
まず一人ずつの気持ちを聞いて、言葉にしてあげましょう。
そのうえで、解決策を一緒に考えるという順番が大事です。
声かけ編の「3秒承認」とも組み合わせられますよ。
NG3. 「ママの気持ち考えて」で罪悪感を植えつける
「ママ悲しい」「パパ怒ってる」で、子どもの行動をコントロールしていませんか。
これを続けると、子どもは「他人の気持ちに自分が責任を持つ」というまちがった学びをしてしまいます。
これは、自分と他人の境界線をあいまいにする代表的なNGです。
相手の気持ちは相手のもの、自分の気持ちは自分のもの。
この境界線を、ていねいに教えてあげたいですね。
「ありがとう・ごめんね」の力にも通じる考え方です。
自分と他人を区別する力を育てる5つの関わり
1. 「わたし」「あなた」を使い分けて話す
「あなたはどう思う?」「わたしはこう思うよ」。
こんなふうに主語をはっきり使い分けるのが、境界線を育てる第一歩です。
「みんな」「うちら」ばかりだと、自分と他人がとけ合った感覚のまま育ってしまいます。
「あなたはどれが好き?パパはこれが好きだよ」と、ふだんの会話で使い分けてみましょう。
これが「自分は自分」の感覚を育てる、いちばんの近道です。
2. 気持ちに「名前」をつけて言葉にする
「それは”くやしい”だね」「いま”うれしい”みたいだね」。
気持ちに名前がつくと、子どもは自分の内と外の区別ができるようになります。
気持ちに名前をつけることは、大人でも心を落ち着けるのに役立つと分かっています。
これは長所編の「過程を具体的に認める」とも重なります。
1日30秒でじゅうぶんですよ。
3. 相手の気持ちを想像させる問いを投げる
「お友達はどう感じたと思う?」「妹の気持ちはどうかな?」。
この「相手の気持ちを想像する」練習が、自分と他人を区別する力の核心です。
これは4〜5歳でぐんと伸びる力なので、答えられなくても大丈夫。
質問すること自体が、「相手には相手の気持ちがある」ことを教えてくれます。
これは思春期にもつながる基礎の力です。
4. 親が「境界線」を言葉で見せる
「ママは疲れたから、今は休みたいな」「パパはこれは嫌だからやめてほしい」。
親自身が自分の境界線を言葉にして見せるのが、いちばんのお手本になります。
子どもは「大人も自分の気持ちを言っていいんだ」と学びます。
そして「他人には他人の限界があるんだ」と知っていきます。
親自身が「自立のお手本」になるということですね。
親のセルフケアとセットで実践できますよ。
5. 失敗したときこそ「区別」をていねいに教える
お友達を叩いた、妹のおもちゃを奪った。
こうした失敗の瞬間こそ、区別を教える最高のチャンスです。
「あなたはこれが欲しかった、妹はまだ使いたかった、二人の気持ちはちがうね」と並べて言葉にしましょう。
責めるのではなく、「べつべつの気持ちがあること」を見せるのが目的です。
ポジティブしつけ術と組み合わせてみてくださいね。
年齢別 自分と他人を区別する力を育てる早見表(2〜12歳)
| 年齢段階 | 区別のサイン | 親の関わり | 具体的な声かけ例 | 育つ力 |
|---|---|---|---|---|
| 2-3歳 | 『じぶんの!』が増える | 所有の主張を尊重 | 「これはあなたの、あれはパパの」 | 所有の区別 |
| 4-5歳 | 『くやしい』『うれしい』を言える | 気持ちに名前をつける | 「今のは”はずかしい”かな?」 | 感情の区別 |
| 小1-2 | 『友達はこう思ってる』 | 相手視点の問いを投げる | 「お友達はどう感じたかな?」 | 視点の区別 |
| 小3-4 | 『自分の意見』を持つ | 意見の違いを歓迎 | 「あなたの考え、面白いね」 | 意見の区別 |
| 小5-6 | 『価値観の違い』を認める | 多様性を肯定する | 「みんな考え方が違うね」 | 価値観の区別 |
| 中学生 | 『自分の生き方』を模索 | 親自身の価値観も見せる | 「パパはこう思うけど、あなたは?」 | アイデンティティ |
早見表は、冷蔵庫やデスクに貼っておくのがおすすめです。
つい「みんな仲良く」で済ませそうな瞬間に、立ち止まれますよ。
主体性編の「じゃあどうする?」とあわせて使うと、区別する力と主体性が両方そろって育ちます。
よくある質問(FAQ7問)
Q1. 3歳の子がお友達を叩いてしまいます
3歳は「自分はこうしたい」と主張したくなる時期です。
叩くのは、言葉で伝える力がまだ足りないだけで、悪気があるわけではありません。
まず「叩くのは痛いね」と伝えましょう。
次に「あなたはこれが欲しかったんだね」と本人の気持ちを言葉にします。
そのうえで「お友達も欲しかったんだね」と相手の気持ちも並べて見せてあげてください。
責めるよりも、言葉にしてあげることが大切です。
Q2. 「わがまま」と「主張」の区別がつきません
「わがまま」と決めつける前に、考え方を切りかえてみましょう。
自分の気持ちを出すのは、育ちとして自然なことなんです。
2〜4歳で自分を主張するのは、むしろ健やかに育っているサインですよ。
親としては「気持ちは出していい、でも伝え方は選ぶ」の2つで対応しましょう。
気持ちを表すのは◯、暴力や暴言は✗、という線引きです。
くわしくは家庭ルールではっきりさせておくと安心です。
Q3. 兄弟のケンカで両方の言い分を聞くと時間がかかりすぎます
時間がかかっても、「両方の気持ちを言葉にする」過程こそが学びになります。
時間を節約して「どっちも我慢」にすると、その学びの機会を失ってしまいます。
忙しいときは「あとで一人ずつ話を聞くね」と予告して延期するのはOKです。
気持ちに名前をつけるのは、食後や寝る前など、落ち着いた時間を選んでていねいに。
Q4. 相手の気持ちを想像させても「わかんない」と言われます
「わからない」で大丈夫です。
質問すること自体が、「他人にはべつの気持ちがある」ことを教えてくれます。
あせらず何度も投げかけていると、4〜5歳ごろから自然に想像できるようになります。
この力の育ちには個人差があるので、6歳ごろまでゆっくり見守る気持ちでいましょう。
Q5. 自己主張が強すぎて集団で浮かないか心配です
個性編にも書いたとおり、家庭で自己主張を認められた子ほど、外では安定して過ごせます。
自己主張と集団のマナーは、べつべつに両立できる力です。
家は主張していい場所、外はマナーを守る場所、と切り分けて教えましょう。
そうすれば、両方をちゃんと身につけられますよ。
Q6. 親自身が境界線を引くのが苦手です
これは、多くのパパ・ママがかかえている悩みです。
まずは「疲れたら”疲れた”と言う」「嫌なら”嫌”と言う」を練習してみましょう。
1日1回、自分の気持ちを子どもの前で言葉にするだけでもOKです。
親のすがたが、いちばんの教材になります。
セルフケアと両方ですすめていきましょう。
Q7. むずかしい心理学の話、結局どう子育てに生かせばいい?
要点はとてもシンプルです。
3〜6歳は「自分は自分」という感覚が本格的に育つ時期と知って、子どもの自己主張を大切にしましょう。
そして、気持ちに名前をつけることと、相手の気持ちを想像させる問いかけ。
この2つで、思いやりの力を育てていきます。
毎日30秒続けるだけで、自分と他人を区別する力が育ちます。
むずかしそうですが、じつは「わたし・あなた・気持ちに名前・相手はどう?」の4つのフレーズだけなんですよ。
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気持ちを知ったり、相手の役になりきったりできる、わが家で実際に使ってよかったアイテムです👇
・へんがおならべ カードゲーム(表情で気持ちを知る)
・ままごとキッチン(ごっこ遊びで相手の役になる)
・木製おままごとセット(やりとりごっこに)
・赤ちゃん絵本セット(気持ちにふれる読み聞かせ)
・知育布絵本(生活習慣のごっこ遊び)
その他の育児グッズは楽天ROOM(papasuta-room)にまとめています。
まとめ|今日から始める1つだけ(NG回避+5つの実践)
まず避ける3つのNG
- 『みんな仲良く』で自分の気持ちを犠牲にさせる
- 『あなたも我慢』で全部平等にする(気持ちを聴かない)
- 『ママの気持ち考えて』で罪悪感を植え付ける
自他区別を育てる5つの関わり
- 1. 『わたし』『あなた』を使い分けた対話
- 2. 気持ちに名前をつけて言語化
- 3. 相手の視点を想像させる問い
- 4. 親が境界線を言葉で見せる
- 5. 失敗時こそ両者の気持ちを並べて教える
今日からまず1つ:今日の会話の1回だけ、子どもの気持ちに『それは”○○”だね』と名前をつけてみてください。「くやしい」「うれしい」「はずかしい」「わくわく」——なんでもOK。この30秒の言語化が、子どもの中の『自分と他人の境界線』を1本ずつ引いていきます。
むずかしい心理学の話をまとめると、結論はひとつです。
3〜6歳の毎日の関わりが、子どもの一生の「自分と他人を区別する力」の土台になるということ。
この力は将来、よい人間関係・仕事での対人スキル・パートナーとの関係のすべてにつながっていきます。
本記事(区別編)を読み終えたら、主体性編とイヤイヤ期編もあわせて読んでみてくださいね。
子どもの心の育ちが、立体的に見えてきますよ。
🌱 自己肯定感・子どもの心を育てるシリーズ
子どもの自己肯定感・個性・主体性を育てるための関わり方を集めました。
- 赤ちゃんの自己肯定感を育てる5つの接し方
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- 子どもの個性を伸ばす親のサポート術5つ|「他の子と違う」と感じた時の声かけと環境作り
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- 【0〜3歳】赤ちゃんの脳育ガイド|遊びで伸ばす可能性と親の関わり方
👶 子どものしつけ・声かけ完全シリーズ
叱るより伸ばす・自立を促す・家庭ルール作りなど、しつけのヒントを集めました。お子さんに合うものから読んでみてください。
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