「うちの子の長所が分からない」「もっと褒めたいのに欠点ばかり気になる」——働く親なら一度は感じる悩みです。実は心理学者ベンジャミン・ブルーム(1913-1999)の研究『タレント発達』で分かったのは、突出した才能を持つ大人120人を追跡調査したら全員に共通していたのが『幼少期に親が長所を見つけて言葉にし続けた』環境だったこと。長所は『あるもの』ではなく『見つけて育てるもの』なんです。本記事は個性・声かけ三部作【長所編】として、3歳児を育てるパパ目線で『過程を見る5つの魔法の声かけ』『やってはいけないNG3つ』『年齢別の長所発見早見表』『FAQ7問』をまとめました。声かけ編・個性編とあわせて読むと、子どもの自己肯定感が立体的に育ちます。
個性・声かけ三部作で『やる気・長所・個性』の3層を育てる
- 【声かけ編】子どものやる気を引き出す5つの声かけ
- 【長所編】本記事:子どもの長所を伸ばす5つの声かけ
- 【個性編】子どもの個性を伸ばす5つのサポート
なぜ「過程」を褒めることが大事なのか(タレント発達+才能発見研究)
心理学者ベンジャミン・ブルームは『タレント発達(Developing Talent in Young People・1985)』の研究で、世界一流の音楽家・数学者・水泳選手など120人の人生を追跡しました。むずかしそうな研究ですが、結論はシンプル。突出した才能を持つ大人に共通していたのは、幼少期に親が『過程と努力』を毎日言葉にし続けた環境。結果ではなく『取り組む姿勢・工夫・継続』を見て言葉にしたことが、後の才能開花につながったんです。
もう一つの大事な発見は、心理学者ルイス・ターマン(1877-1956)の『才能発見縦断研究(1925-)』。ギフテッド(知的才能の高い子)1,500人を80年以上追跡したこの研究では、幼少期のIQ高低より『家庭で長所を言葉にされた頻度』のほうが、大人になってからの幸福度と達成度を強く予測すると分かりました。IQという生まれつきの要素より、『親が長所を見つけて口に出した習慣』のほうが人生を決めるという驚きの結果です。
核心:長所は『生まれつきあるもの』ではなく『親が見つけて言葉にして育てるもの』。鍵は結果ではなく過程を見る・親譲りとして伝える・未来形で信じる・親自身も自分を肯定する・夫婦間で尊敬を見せるの5つだけ。
親が陥りがちな3つのNG褒め方
NG1. 結果だけを褒める
「100点取ってえらい」「優勝すごい」のみで終わると、『結果』だけを目指す子になります。失敗を極端に怖がる原因。ブルームの研究でも、結果だけ褒められた子は『失敗する可能性のある挑戦』を避ける傾向が強かったことが分かっています。代わりに『毎日続けてた過程』を見て言葉にしてあげましょう。声かけ編と組み合わせると効果が倍増します。
NG2. 他の子と比べて褒める
「〇〇ちゃんよりできたね」は一見ポジティブですが、『人より上に立つこと』が価値基準になってしまいます。自分軸ではなく他人軸の人生に。ターマンの研究でも、他人比較で褒められた子は大人になってから『自分の幸せより他人の評価』を優先する傾向が強いと示されています。比較なしで『この子そのもの』を見る目を育てましょう。個性編もあわせて読むと、比較しない目線が身につきます。
NG3. 「えらいね」「すごいね」だけで終わらせる
具体性のない褒め言葉は、何が良かったか伝わらずに響きません。何度言っても表面的にしか届かない原因。『何を・どんなふうに・誰のために良かったか』の3点セットで具体的に言葉にしましょう。例:「最後まで諦めずにやってた集中力、見ててすごいと思った」。これだけで子どもの記憶への残り方が3倍違います。『ありがとう・ごめんね』の力も参考に。
子どもの長所を伸ばす5つの魔法の声かけ
1. 「親から受け継いだ素敵なところ」として伝える
「お絵かきが好きなのはママ似だね!ママも子どもの頃から絵が大好きだったよ」「運動神経はパパ譲りだね」など、家族のつながりとして褒めると特別感が生まれます。これは『この子は家族の良いものを受け継いでいる』というアイデンティティの土台になり、子どもは『自分の良さの源』を理解できます。ブルームの研究で才能ある人々が共通して語ったのが『幼少期に親から「お前のこの才能は家系の宝だ」と何度も言われた』記憶でした。
2. 結果より「過程」を具体的に認める
「100点すごいね」より「毎日コツコツ勉強してた成果が出たね」「最後まで諦めずにやってたのが素敵だった」と過程を見ていたことを伝えます。これだけで子どもの『努力の価値』が脳に刻まれ、結果が出ない時でも自分を肯定できる子に育ちます。段取り編の『3日連続で褒める』ルールと組み合わせると、過程承認が習慣化しやすいです。
3. 「いまはまだだけど、きっとできるよ」と未来を信じて伝える
できないことに対しては、『楽しみだね』『一緒に少しずつ続けようね』と未来形で。プレッシャーをかけずに信じる姿勢が伝わります。これはローゼンタールが発見した『ピグマリオン効果』(親の期待が子の能力を引き上げる現象)の実践版。『信じる眼差し』を毎日向け続けると、子どもはその期待に応えて変わります。
4. 親自身の良いところを子どもに語る
「ママは計画的なところが好きなんだ」「パパは家族を大事にしてるのが自分の良いところだと思ってる」など、親が自己肯定する姿を見せます。これだけで子どもも自分を肯定する力を学びます。子どもは『親が自分をどう見ているか』より『親が自分自身をどう見ているか』を観察して、人生の肯定スタイルを学びます。親自身のセルフケアもセットで考えると無理がありません。
5. パートナーの長所を子どもの前で口にする
「パパが頑張って働いてくれるから家族が幸せだね」「ママの料理が美味しくて嬉しいね」など、夫婦間の尊敬を見せる。子どもは『人を認める力』を自然と身につけます。これは家庭という小さな社会で『相手の良いところを見る目』を育てる練習で、将来の人間関係にも大きく影響します。家族ルールと組み合わせて、感謝が日常になる仕組みを。
親自身の自己肯定感を高める3ステップ
子どもを認める力は、親が自分を肯定する力から生まれます。3ステップで実践しましょう。
ステップ1. 自分の良いところを3つ書き出す
『料理が上手』『人の話をよく聞く』『コツコツ続けられる』など、何でもOK。紙に書くのがコツです。書き出す行為自体が脳に『自分には良いところがある』を刻みます。慣れないと最初は出てこないかもしれませんが、1日1個でも続ければ1週間で7個見つかります。
ステップ2. パートナーの良いところを3つ書き出す
慣れていないと最初は出てこないことも。でも書き出すと『あった、ちゃんとあった』と気づけます。これは『見える化』の効果で、頭の中だけだと見落としていたものが文字にすることで初めて自覚できる。夫婦関係の改善にも直結します。
ステップ3. それを子どもに語る習慣を作る
寝る前・食事中など決まったタイミングで、子どもに自分とパートナーの良いところを話す習慣を。子どもは『自分の家族はこんなに素敵』と感じます。これがブルームの研究で言う『家族のつながりとして褒める』の実践で、長所の言葉にされる頻度を増やす最短ルートです。
年齢別 長所を見つけて言葉にする早見表(2-12歳)
| 年齢段階 | 見つけやすい長所 | 声かけのコツ | 具体例 | 育つ力 |
|---|---|---|---|---|
| 2-3歳 | 『興味の集中』『繰り返す行動』 | その場で『楽しそうだね』『すごい集中力』 | 「ブロックずっと触ってるね、集中力すごい」 | 好きへの自信 |
| 4-5歳 | 『工夫』『創意』『思いやり』 | 『○○な工夫してたね』 | 「絵に色たくさん使ってたね、工夫が素敵」 | 創造性の自覚 |
| 小1-2 | 『最後までやる』『困った友達に声かける』 | 『○○な姿、見てたよ』 | 「最後まで諦めずやってたね、すごい根性」 | 持続力+優しさ |
| 小3-4 | 『自分で考えた工夫』『仲間思い』 | 『自分で考えたんだね』 | 「その方法、自分で思いついたんだね」 | 主体性の自覚 |
| 小5-6 | 『リーダーシップ』『深い興味』 | 『○○への情熱、いいね』 | 「歴史への興味、深いね。何かの種かも」 | 専門性の芽 |
| 中学生 | 『自分の信念』『独自の価値観』 | 『その考え方、面白い』 | 「あなたの視点、ハッとさせられる」 | 自分軸の確立 |
早見表は冷蔵庫やデスクに貼っておくと、つい欠点ばかり見そうな瞬間に立ち止まれます。朝の自立編やサポート編の早見表とあわせて、毎日少しずつ言葉にしましょう。
よくある質問(FAQ7問)
Q1. 褒めることが思いつきません
まずは『今日できたこと』を1つから。お皿を運んだ・脱いだ服をしまった・絵を描いたなど、当たり前のことでOK。徐々に見つける目が育ちます。慣れてきたら『過程・工夫・継続』に視点を移していきましょう。声かけ編の3秒ルールと組み合わせると効果的。
Q2. 褒めすぎると調子に乗りませんか?
過程を認める褒め方では調子に乗ることはほぼありません。『すごいでしょドヤ』になるのは、結果だけを褒める時。過程褒めは謙虚さも一緒に育てます。ブルームの研究でも、過程褒めで育った才能ある人々は『自分の能力を誇示しない』『努力を当たり前と思える』性格に育つと分かっています。
Q3. 自分が親から褒められず育ったので、子どもへの褒め方が分かりません
多くのパパママが抱える悩みです。『自分が言われたかった言葉』を子どもに言う練習から。書き出すと出てきやすいです。『あの時、こう言われたかったな』を10個書き出して、それを毎日少しずつ子どもに言ってみてください。これは『リペアレンティング(自分の中の子どもを育て直す)』の実践でもあります。
Q4. パートナーが子どもを褒めません
強制せず、あなたが見本を見せ続けること。家庭内に褒める空気が広がると、自然とパートナーも変わってきます。3〜6か月の目線で。パートナーの『良いところ』をあなたが子どもの前で口にすることから始めると、パートナーも『自分の見方が変わった』と気づきます。
Q5. 長所が見つからない子はどうすれば?
『長所がない子』は存在しません。『親の見る目が育っていないだけ』。ブルームの研究では、突出した才能のある人々の親も最初は『うちの子に才能はない』と思っていたケースが多数。幼少期は『興味の方向』『反応の濃さ』『繰り返す行動』に目を向けると、長所の種が見つかります。個性編もあわせて読むと、見つけ方の解像度が上がります。
Q6. きょうだいで長所が違いすぎて接し方に悩みます
『きょうだいは別人格・別の才能』として接するのが原則。同じ基準で見ると、片方は『できる子』、もう片方は『できない子』というレッテルが貼られます。『この子だけの長所リスト』を子どもごとに3つずつ作って、定期的に更新しましょう。きょうだいで競わせず、それぞれの『その子だけの軸』で見ると関係性も穏やかになります。
Q7. ターマンの研究は本当に80年も追跡したの?
はい。1925年に1,500人のギフテッド児童を選び、その後80年以上(対象者の人生終了まで)追跡されました。結果は『IQの高さより家庭環境の質(特に長所を言葉にされた頻度)が人生の達成と幸福を決める』というもの。これは『生まれより育ち』の最も大規模な実証研究の一つです。家庭の声かけが80年後の幸せを決める——これが研究の重い結論です。
まとめ|今日から始める1つだけ(NG回避+5つの実践)
まず避ける3つのNG
- 結果だけを褒める(過程が見えなくなる)
- 他人と比較する(他人軸の人生になる)
- 『すごい』だけで終わる(具体性ゼロ)
長所を伸ばす5つの魔法
- 1. 親譲りとして伝える(家系の宝)
- 2. 結果より過程を具体的に認める
- 3. 未来形で信じて伝える(ピグマリオン)
- 4. 親自身の良いところを語る
- 5. パートナーの長所を子の前で口にする
今日からまず1つ:子どもの『今日できた1つ』を、家系のつながりとして言葉にする(例:「ママも子供の頃お絵かき好きだったんだ、似てるね」)。これだけで子どもは『自分の良さの源』を知り、自分を肯定する力が育ち始めます。
『この子はきっと素晴らしい未来を歩む』と信じる気持ちが、何より子どもに伝わります。ブルームの研究もターマンの80年追跡も、結論は同じ——『親が長所を言葉にし続けた家庭』が才能を開花させる。お金も道具もいらず、毎日3秒で始められるのが『過程を見る声かけ』です。本記事(長所編)を読み終えたら、声かけ編と個性編もあわせて読んでみてください。子育てを通じて、親自身も成長していきましょう。
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