『家族なのに”ありがとう”って言うの照れくさい』『親が謝るのはプライドが許さない』——そう思っていませんか?でも実は、この2つの言葉こそ家族の絆と子どもの自己価値を育てる最強の栄養素なんです。脳科学の研究では、感情は生まれつき決まっているのではなく、その場の言葉や経験で脳がつくり出すと分かってきました(脳科学では『感情構築理論』と呼ばれます)。だから「ありがとう」と言えば感謝の気持ちが、「ごめんね」と言えば仲直りの気持ちが、脳の中で実際に育っていきます。もう一つ、家族の心のケアの研究でも、家族の中で交わされる言葉こそが、子どもの“自分は大切な存在だ”という感覚(自己価値)をつくると示されています。本記事は家族関係・つながり三部作【家族全体編】として、2つの魔法の言葉の科学的な効果・NG3つ・場面別フレーズ集・FAQ7問をまとめました。兄弟編・親子編とあわせて読むと、家族全員の絆を立体的に育てる設計図が完成します。
家族関係・つながり三部作で『横・縦・全体の3層』を育てる
- 【兄弟編・横のつながり】兄弟育児で上の子の心を守る5つの関わり
- 【親子編・縦のつながり】完璧を手放す親子コミュニケーション5つのコツ
- 【家族全体編】本記事:「ありがとう・ごめんね」で家族の絆が深まる5つの声かけ
なぜ「ありがとう・ごめんね」は魔法の言葉なのか|言葉が家族の心をつくるしくみ
先ほどの脳科学の考え方を、もう少しかみくだいてみましょう。「感情は生まれつき固定されているのではなく、その場の言葉と経験で脳がつくり出す」——これがポイントです。「ありがとう」と言うと、脳の中で“感謝”の気持ちが強まり、実際にそれを感じられるようになります。逆に「ありがとう」を言わない家庭では、感謝という気持ちそのものが薄くなっていく。つまり、言葉が先で感情が後なんです。「ごめんね」も同じで、口に出すことで“仲直り”する力が育っていきます。
もう一つ、家族の関わり方の研究では、家族の中で交わされる言葉が子どもの“自分は大切”という感覚をつくると分かっています。この研究では、家族の会話のクセを大きく5つに分けています。①相手に合わせて自分を消してしまう、②相手を責めてばかりになる、③感情を切り捨てて理屈だけで話す、④話題をそらしてごまかす、⑤自分の気持ちと言葉と行動がぴったり一致している。「ありがとう・ごめんね」を素直に交わせる家族は、この⑤の“気持ちと言葉が一致した状態”に近づき、子どもの自己価値は自然に育ちます。
核心:「ありがとう・ごめんね」は家族の絆と子の自己価値を育てる神経の栄養素。鍵は『家事の小さな協力に明示する・親の失敗を素直に謝る・”何に対して”を具体的に言う・家族全員で使う雰囲気・言葉+ハグをセットに』の5つ。
親が陥りがちな3つのNG(家族の絆を細くする声かけ)
NG1. 「親は謝らないもの」というプライド
『親は間違えないふりをすべき』という古い価値観は、いちばん避けたい関わりです。さきほどの5つのクセでいう“相手を責める”や“理屈だけで話す”に近く、子どもの中に「間違えたら怒られる」「弱みを見せてはいけない」という不安を植え付けます。“仲直りする力”が育たないと、人間関係でつまずいた時に立て直せない大人になってしまう。親が「ごめんね」と言える家庭の子は、失敗を恐れず挑戦できる子に育つと、海外の長期研究でも確かめられています。完璧を手放す親子コミュニケーションともつながる原理です。
NG2. 感謝を「当たり前」で流す(お手伝いに無反応)
子どもが家事を手伝ってくれた・下の子の面倒を見てくれた・自分から片付けた——これらに「ありがとう」を言わないのは、家族の絆の栄養不足です。感謝を受け取れない子は“役に立てた”という実感が育たず、無力感につながります。家族の中で感謝が交わされないと、“自分は大切”という土台もやせてしまう。「洗濯物出してくれたんだね、ありがとう」のひと言が、子どもの“役に立てた感覚”と“自分は大切という感覚”の両方を毎日育てます。『役立つ喜び』を育てるともあわせて。
NG3. 「ごめんね」だけで終わる(何にごめんかを言わない)
「ごめん」のひと言だけで済ませるのは、実は“謝罪”ではなく“逃げ”。気持ちを言葉にするときは“具体的であること”が大事です。「ごめんね」だけだと、子どもは“何が悪かったのか・どう直せばいいのか”が分からないまま。「大きな声を出してごめんね、パパも疲れてイライラしちゃった」と何についてごめんかを言うことで、子どもは“仲直りの仕方”を学びます。これが、気持ちと言葉を一致させる関わりの核心です。
「ありがとう・ごめんね」で家族の絆が深まる5つの声かけ
1. 家事の小さな協力に「ありがとう」を明示する
皿を運んだ・水を出した・洗濯物を畳んだ——どんな小さな協力にも「ありがとう」を言葉にします。感謝の言葉を受ける回数が多いほど、子どもの中で“人を思いやる気持ち”と“自分は大切という感覚”が同時に育ちます。「当たり前」の家事にこそ感謝を言うのがコツ——こうした見返りを求めない言葉こそ、家族の絆をつなぐいちばん基本の糸なんです。やる気を引き出す声かけとも重なる原理です。
2. 親の失敗を素直に「ごめんね」と言う
怒鳴った・約束を忘れた・時間に遅れた——親も間違える存在だと素直に見せます。「ごめんね、今のはパパが悪かった」と言えるだけで、子どもは“失敗しても仲直りできる”を学びます。これは“立ち直る力”を育てることにつながります。気持ちと言葉が一致した親の姿こそ、子どもの人間関係の質を10年後・20年後に決めます。わたしメッセージとセットで使うとさらに効果的。
3. 「何にありがとう」「何にごめんね」を具体的に言う
「ありがとう」より「絵本読んでくれてありがとう、パパ嬉しかった」の方が10倍効きます。「ごめん」より「大きな声を出してごめんね、疲れてイライラしちゃった」の方が家族の絆を深めます。気持ちは“具体的な言葉”があってこそ育つもの。ふわっとした感謝や謝罪は心に残りませんが、具体的な言葉はしっかり記憶に残ります。ひと言添えるだけで効果は倍増です。
4. 家族全員で使う雰囲気を作る(食卓で使う)
親だけが言うのでは、家族全体の空気は変わりません。食卓・帰宅時・寝る前など“みんなが集まる場”で「ありがとう」を交わすのを習慣にします。「今日ありがとう、って言いたい人」と食卓で1周する家族もいます。家族の言葉のクセは伝わっていくもの——親が使えば子どもも使い、家族全体の絆が深まります。家族時間30分術の中に組み込むのがおすすめ。
5. 「ありがとう・ごめんね」の後にハグ・タッチをセットに
言葉だけでなくスキンシップもセットにすると、脳内で“絆ホルモン”と呼ばれるオキシトシンが出て、感謝や仲直りの気持ちがさらに深く根づきます。“言葉+ふれあい”の組み合わせが、いちばん早く心に定着すると分かっています。頭ポン・肩トン・ハイタッチ・ハグ——年齢に合ったスキンシップを言葉に添えるだけで、家族の絆は毎日1歩深まります。親の愛情を届けるの言葉+スキンシップ黄金律とも重なる原則。
シーン別 ありがとう・ごめんねフレーズ早見表
| シーン | 親のNG | 親のOK(具体+身体接触) | 子への影響 | 育つ自己価値 |
|---|---|---|---|---|
| 朝食を出してもらった時 | 無言/「当たり前」 | 「作ってくれてありがとう」+目線 | 感謝の回路が強化 | 貢献感の実感 |
| 子が水をこぼした時 | 「何やってるの!」 | 「一緒に拭こうか」+ハイタッチ | 失敗→修復のモデリング | 失敗許容の耐性 |
| 兄弟喧嘩をした時 | 親が仲裁で終わる | 「相手にごめんねって言ってみる?」 | 謝罪の技術を学ぶ | 対人修復力 |
| 夫婦で意見が違った時 | 沈黙/怒鳴り合い | 「今の言い方、ごめん」+ハグ | 大人の修復モデリング | 親密性の質 |
| 寝る前 | すぐ消灯 | 「今日ありがとう、大好き」+抱きしめ | 安心の日次終了 | 愛される実感 |
早見表は冷蔵庫・食卓・寝室の3ヶ所に貼ると、家族の絆を育てる仕組みができます。兄弟編や親子編の早見表もあわせて、家族関係を立体的に整えられます。
よくある質問(FAQ7問)
Q1. 「ありがとう・ごめんね」を毎日言うと軽くならない?
いいえ、むしろ習慣にするほど気持ちの質は深まります。回数が多いほど“感謝と仲直り”がその家族の“当たり前の空気”になり、子どもは“言わなくても分かる家族”ではなく“言うことで深まる家族”を学びます。習慣にする=軽くなる、ではなく、習慣にする=心に根づく、です。
Q2. 幼児にも通じる?
はい。0〜2歳のうちから、言葉のシャワーとして耳に入れる価値があります。言葉の意味は0歳から少しずつ育ち、3歳頃には“ありがとう”の気持ちが芽生えます。「〇〇ちゃん、ありがとうね」を毎日繰り返すことで、子どもは“感謝がある家族”を当たり前として育ちます。0-2歳自己肯定感編とも連動する原理です。
Q3. パートナーが言わない場合は?
相手を責めず、まず自分が実践し続けるのが最短ルートです。家族はひとつのチームのようなもので、一人が変わると全体が変わっていきます——数ヶ月〜1年で相手も変わる可能性は高いです。「あなたも言って」と要求すると、かえって責める形になり逆効果。あなたが続ける姿を見せることで、家族全体の言葉のパターンが変わります。夫婦で育児方針をすり合わせるもあわせて。
Q4. 「ごめんなさい」との違いは?
「ごめんなさい」は改まった謝罪、「ごめんね」は親しさを含んだ日常の謝罪です。家族の中では“ごめんね”のやわらかさが絆を深めます。子どもに謝る時は「ごめんね」、外の人には「ごめんなさい/申し訳ありません」と使い分けるのが自然。言葉が変われば、脳の中で受け取る気持ちも少しずつ変わってきます。
Q5. 子が謝らない時、無理に言わせるべき?
いいえ、無理に言わせると“自分を消して相手に合わせるクセ”がつき、自己価値がやせてしまいます。まず親がお手本を見せること——「パパもさっき怒鳴ってごめんね」を先に。子どもは“謝れる大人”を見て育ち、自然に言えるようになります。叱らないしつけともあわせて、“うながす”と“強制する”を区別しましょう。
Q6. 「言葉で気持ちが育つ」ってどういうこと?
近年の脳科学では、気持ちは生まれつき決まっているのではなく、そのときの言葉や経験から脳がつくり出すと考えられています。「怒り」「喜び」「悲しみ」といった感情も、実は育つ環境によってかなり違ってくるのだそう。子育てに置きかえると、「気持ちを表す言葉をたくさん渡すことが、子どもの感情の豊かさそのものを育てる」——ありがとう・ごめんねは、まさに心の栄養です。
Q7. 「家族の会話のクセ」って具体的にどんなもの?
家族を“ひとつのチーム”として見る、という考え方があります。子どもの困りごとは、その子だけの問題ではなく、家族の会話のクセから生まれることも多いという見方です。会話のクセは大きく5つ——①自分を消して合わせる、②責める、③理屈だけ、④ごまかす、⑤気持ちと言葉が一致している。目指したいのは⑤の“気持ちと言葉がぴったり一致した状態”。「ありがとう・ごめんね」を素直に交わせる家族は、自然にこの状態に近づきます。
まとめ|今日から始める1つだけ(NG回避+5つの声かけ)
まず避ける3つのNG
- 「親は謝らないもの」というプライド(責める・理屈だけになりがち)
- 感謝を「当たり前」で流す(貢献感の栄養不足)
- 「ごめんね」だけで終わる(何にごめんかを言わない)
家族の絆が深まる5つの声かけ
- 1. 家事の小さな協力に「ありがとう」を明示する
- 2. 親の失敗を素直に「ごめんね」と言う
- 3. 「何にありがとう」「何にごめんね」を具体的に言う
- 4. 家族全員で使う雰囲気を作る(食卓で使う)
- 5. 「ありがとう・ごめんね」の後にハグ・タッチをセットに
今日からまず1つ:今日の夕食の時、家族の1人にでも「今日〇〇してくれてありがとう」と目を見て具体的に伝えてください。ハグやハイタッチをセットに。1週間続けると、家族全体の空気が変わることに気づくはずです。科学的にも裏づけのある、家族の絆の最短ルートです。
脳科学から見ても、家族の関わりから見ても、結論は同じ——家族の中で交わされる言葉が、家族の絆と子どもの“自分は大切”という感覚をつくる。「ありがとう・ごめんね」は、その中でもいちばん強い心の栄養です。1日1回、意識して具体的に言葉にするだけで、10年後・20年後の家族の関係が変わります。本記事(家族全体編)を読み終えたら、兄弟編・横のつながりと親子編・縦のつながりもあわせて読むと、家族全員が心地よく繋がる3層構造が完成します。
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