「歯みがきの時間になると、口をぎゅっと閉じて逃げてしまう」。
「仕上げ磨きをしようとすると、泣いてのけぞって暴れる」。
毎晩それがくり返されると、パパもママもぐったりしてしまいますよね。
でも大丈夫です。
子どもが歯みがきを嫌がるのには、ちゃんとした理由があります。
そして、その理由に合わせて関わり方を少し変えるだけで、驚くほどラクになることがあります。
この記事では、子どもが歯みがきを嫌がる本当の理由と、仕上げ磨きを習慣にする5つのコツ、そして年齢別の関わり方や声かけ例、やってはいけないNG、虫歯を防ぐ早見表までをまとめました。
生活リズムづくりの土台になる偏食・好き嫌いの克服やトイレトレーニングとあわせて読むと、毎日のケアがもっとスムーズになりますよ。
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なぜ子どもは、あんなに歯みがきを嫌がるの?
まず知っておいてほしいのは、歯みがきを嫌がるのは「わがまま」ではない、ということです。
そこには2つの大きな理由がかくれています。
歯みがきを嫌がるのは、わがままじゃありません
ひとつめの理由は、お口の中がとても敏感な場所だということです。
くちびるや歯ぐき、舌の周りは、体の中でもとくに感覚がするどい部分です。
大人でも、歯医者さんで急に器具が入ってくると身がまえてしまいますよね。
子どもにとっての歯ブラシは、それと同じくらい「未知のもの」なんです。
とくに小さな子は、口の中や口のまわりを触られるのをとても嫌がることがあります。
こうした状態を、心理学では「感覚が過敏」と呼ぶことがあります。
つまり、感じ方がするどいだけで、決してワガママなわけではない、ということです。
「痛い」「くすぐったい」「こわい」という感覚が、本人の中では本物なんですね。
だから、無理やり押さえつけて磨くと、「歯みがき=こわいこと」という記憶がどんどん強くなってしまいます。
「イヤ」を「やりたい」に変える遊びの力
ふたつめの理由は、歯みがきが「楽しくない時間」になっていることです。
子どもは、楽しいことには自分からどんどん近づいていきます。
逆に、つまらないことや、こわいことからは全力で逃げます。
ここで役に立つのが「遊びの力」です。
歯みがきをちょっとした遊びに変えるだけで、子どもの表情はガラッと変わります。
「バイキンさんどこかな?」と探しっこにしたり、好きな歌に合わせて磨いたりするだけでいいんです。
遊びを通して前向きな気持ちを引き出すことを、心理学では「プレイフルネス(遊び心)」と呼びます。
むずかしく考えなくて大丈夫です。
「どうやって嫌がらせないか」ではなく、「どうやって楽しくするか」に頭を切りかえるだけで、毎晩の空気が変わっていきます。
核心:歯みがきを嫌がるのは、お口が敏感でこわいから。だから「押さえつけて磨く」より「敏感さに配慮して、遊びで楽しくする」ほうが、結局は早く習慣になります。目標は「今日きれいに磨けたか」より「歯みがきを嫌いにさせないこと」です。
歯みがきでやりがちな3つのNG
よかれと思ってやっていることが、実は逆効果になっていることがあります。
まずはこの3つをやめるだけで、子どもの抵抗はぐっと減ります。
NG1:力ずくで押さえつけて磨く
暴れる子を無理やり押さえて、大急ぎで磨く。
気持ちはとてもよく分かります。
でも、これを毎晩くり返すと「歯みがき=痛くてこわい時間」という記憶が積み重なってしまいます。
すると、次の日はもっと激しく嫌がるようになります。
どうしても仕上げ磨きが必要なときは、短い時間でパッと終わらせて、「がんばったね」で締めくくりましょう。
この「嫌なことは短く、終わりは笑顔で」という考え方は、イヤイヤ期の外出対策とも共通しています。
NG2:「虫歯になるよ!」と脅す
「ちゃんと磨かないと歯が溶けちゃうよ」。
「虫歯になって歯医者さんで痛いことするよ」。
こうした脅しは、その場ではきくように見えます。
でも、子どもの心には「歯みがき=こわい・いやなこと」というイメージだけが残ります。
本当に育てたいのは、「気持ちいいから磨く」という前向きな気持ちです。
「ピカピカにして気持ちよく寝ようね」と、明るい言葉に置きかえてみてください。
NG3:毎回きっちり磨けないと落ち込む
「今日も上手に磨けなかった」と、親のほうが落ち込んでしまうこともありますよね。
でも、毎回100点を目指す必要はありません。
大事なのは、多少雑でも「毎日続けること」と「歯みがきを嫌いにさせないこと」です。
とくに、寝る前の1回だけはしっかり磨けたら、それで十分合格点です。
完璧を手放すという考え方は、寝かしつけや毎日の生活リズムづくりにも通じます。
仕上げ磨きを習慣にする5つのコツ
ここからは、今日から使える具体的なコツを5つ紹介します。
全部を一度にやろうとしなくて大丈夫です。
「これならできそう」と思ったものから1つずつ試してみてください。
コツ1:同じ時間・同じ流れでやる
歯みがきは、毎日同じタイミングでやると定着しやすくなります。
おすすめは「お風呂のあと」や「寝る前の絵本の前」など、すでにある習慣とセットにすることです。
子どもは、次に何が起きるか分かると安心します。
「お風呂→歯みがき→絵本→ねんね」と流れが決まっていると、「歯みがきは当たり前のこと」として受け入れやすくなります。
とくに大事なのは、寝る前の1回です。
寝ている間は、お口を守ってくれる唾液(つば)が減るため、虫歯ができやすくなります。
だから「夜だけは必ず仕上げ磨き」と決めておくと安心です。
毎日の生活リズムづくりは、子どもの睡眠時間の整え方とあわせて考えると続けやすくなります。
コツ2:歯みがきを「遊び」に変える
嫌がる子には、遊びの力がいちばん効きます。
たとえば「お口の中のバイキンさんをやっつけよう!」と、たたかいごっこにしてみましょう。
「前歯さんこんにちは」「奥歯さんもいるかな?」と、歯に名前をつけて話しかけるのもおすすめです。
好きな歌を1曲歌う間だけ磨く、というのも分かりやすくて人気です。
「この歌が終わるまでね」と見通しがつくと、子どもはがんばれます。
ぬいぐるみの歯を先に磨いてあげてから、自分の番にするのも効果的です。
「くまさんもピカピカになったね、次は○○ちゃんの番!」という流れですね。
コツ3:自分で選ばせて、やる気を引き出す
子どもは「自分で決めた」と感じると、すすんで動きやすくなります。
「どっちの歯ブラシにする?」と色や柄を選ばせてあげましょう。
「パパとママ、どっちに仕上げ磨きしてほしい?」と聞くのもいいですね。
「先に自分で磨く?それともパパが先?」と順番を選ばせるのも効果があります。
どれを選んでも歯みがきはする、という点は変わりません。
でも「自分で選んだ」という気持ちが、子どものやる気を引き出してくれます。
この「選ばせる声かけ」は、いろいろな場面で使える魔法の言葉です。
コツ4:仕上げ磨きの姿勢と痛くない磨き方を工夫する
仕上げ磨きは、子どもの頭を親のひざにのせる「寝かせ磨き」がやりやすいです。
子どもの顔が上を向くので、お口の中がよく見えて、短い時間で終わらせられます。
このとき気をつけたいのが、上の前歯です。
上のくちびるの裏には「すじ」があり、そこに歯ブラシが当たると痛くて子どもが嫌がります。
人さし指をそっと当てて、すじをガードしながら磨いてあげてください。
力は入れすぎず、歯ブラシを鉛筆のように軽く持つのがコツです。
「シャカシャカ」と小さく動かすと、痛くなく汚れが落ちます。
嫌がる日は全部を完璧に磨こうとせず、「今日は前歯だけ」と割り切ってもかまいません。
コツ5:できたら大げさにほめる
歯みがきが終わったら、必ず「できたね!」とほめてあげましょう。
ほめられた経験は、「またやろう」という気持ちにつながります。
「お口がピカピカで気持ちいいね」と、感覚を言葉にしてあげるのも効果的です。
シールを1枚はって、カレンダーに記録していくのも子どもは大好きです。
「できた回数が見える」と、続けるはげみになります。
結果よりも、「口を開けてくれた」「逃げずに来てくれた」という小さな一歩をほめてあげてください。
その積み重ねが、歯みがき好きへの近道です。
年齢別 歯みがき・仕上げ磨き早見表
歯みがきの関わり方は、年齢によって少しずつ変わっていきます。
お子さんの年齢に合わせて、参考にしてみてください。
| 年齢の目安 | 歯の様子 | 仕上げ磨き | 嫌がる時の工夫 | 声かけ例 |
|---|---|---|---|---|
| 0〜1歳(歯が生え始め) | 下の前歯が出てくる | ガーゼや小さな歯ブラシで軽く。まずは慣れることが目標 | ひざにのせて短時間で。歌いながら | 「お口みせて〜、こんにちは」 |
| 1〜2歳 | 前歯・奥歯が増える | 親がほぼ全部。寝る前は必ず | ぬいぐるみを先に磨く。バイキン退治ごっこ | 「バイキンさんどこかな?」 |
| 2〜3歳(イヤイヤ期) | 乳歯がそろってくる | 自分で少し+親が仕上げ | 歯ブラシの色を選ばせる。1曲だけルール | 「どっちの歯ブラシにする?」 |
| 3〜6歳 | すべての乳歯がそろう | 自分で磨く練習+親が毎晩仕上げ | 鏡を見せる。シールでごほうび | 「ピカピカにして気持ちよく寝よう」 |
| 小学生(6歳〜) | 大人の歯が生え始める | 低学年までは親が仕上げ。奥歯を重点的に | 生えたての奥歯は特に丁寧に。自分で記録 | 「新しい歯、大事にしようね」 |
仕上げ磨きは、子どもが自分でしっかり磨けるようになるまで続けるのが安心です。
目安は小学校の低学年ごろまでといわれています。
とくに、生えたばかりの大人の奥歯(6歳臼歯)は虫歯になりやすいので、親がしっかり見てあげてください。
フッ素入り歯みがき粉の量も年齢に合わせて
虫歯予防には、フッ素(フッ化物)入りの歯みがき粉が役立ちます。
2023年に4つの歯科の学会が出した目安では、年齢によって使う量が決められています。
歯が生えてから2歳ごろまでは、米つぶくらいの量(1〜2mm)が目安です。
3〜5歳は、グリーンピースくらいの量(5mmほど)にします。
6歳以上は、歯ブラシ全体(1.5〜2cm)にたっぷりつけて大丈夫です。
磨いたあとのうがいは、少しの水で1回だけにすると、フッ素が長くとどまって効果的です。
ただし、量や濃度はお子さんの成長や歯の状態で変わることもあります。
心配なときは、かかりつけの歯医者さんで確認してくださいね。
よくある質問(FAQ)
Q1. 仕上げ磨きは何歳まで続けたらいいですか?
目安は小学校の低学年(8〜9歳ごろ)までといわれています。
手先が器用になり、自分で奥歯までしっかり磨けるようになるまでは、親が仕上げをしてあげると安心です。
とくに生えたての大人の歯は虫歯になりやすいので、そこだけでも見てあげてください。
Q2. どうしても口を開けてくれません。どうしたら?
まずは無理に開けさせようとしないことが大切です。
ぬいぐるみの歯を磨くまねをしたり、親が自分の歯を磨いて見せたりすると、興味を持ってくれることがあります。
「あーん」と大きく口を開ける遊びから始めるのもおすすめです。
それでも難しい日は、前歯だけでもOKと割り切りましょう。
Q3. 泣いて暴れるので、押さえつけてでも磨くべき?
安全のため、一時的に体をやさしく支えることはあります。
でも、力ずくで長時間磨くのはおすすめできません。
「歯みがき=こわい」という記憶が強くなり、逆効果になりやすいからです。
どうしても必要なときは、10秒でも20秒でもいいので短くパッと終わらせて、最後は必ず「がんばったね」と笑顔で締めくくってください。
Q4. 朝と夜、どちらの歯みがきが大事ですか?
どちらも大切ですが、より重要なのは寝る前の夜の歯みがきです。
寝ている間は、お口を守る唾液が減るため、虫歯菌が活発になりやすいのです。
忙しい日は「夜だけは必ず仕上げ磨き」と決めておくと、虫歯予防の効果が高まります。
Q5. 歯みがき粉はいつから使えばいいですか?
歯が生えてきたら、フッ素入りの歯みがき粉を少量から使って大丈夫です。
2歳ごろまでは米つぶくらいの量を目安にしてください。
うがいがまだできない小さな子は、ガーゼで軽くふき取ってあげるか、少量にとどめると安心です。
Q6. 甘いものを食べさせなければ虫歯にならない?
甘いものを減らすことは、虫歯予防にとても効果的です。
ただ、それだけで虫歯を完全に防げるわけではありません。
とくに気をつけたいのは、ジュースや甘い飲み物を「だらだら飲み」させることです。
お口の中がずっと甘い状態になり、虫歯ができやすくなります。
おやつや飲み物は時間を決めて、そのあとは水やお茶にするのがおすすめです。
Q7. 歯医者さんには、いつから通えばいいですか?
最初の歯が生えたころ〜1歳半健診のタイミングで、一度受診しておくと安心です。
虫歯がなくても、定期的に通ってフッ素を塗ってもらったり、磨き方を教わったりできます。
小さいころから歯医者さんに慣れておくと、「こわい場所」ではなくなります。
3〜4か月に1回の定期健診を習慣にしておくと、早めに虫歯を見つけられます。
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まとめ:今日から始める1つだけ
まず3つのNGを回避
- 力ずくで押さえつけて磨く
- 「虫歯になるよ!」と脅す
- 毎回きっちり磨けないと落ち込む
仕上げ磨きを習慣にする5つのコツ
- 同じ時間・同じ流れでやる(とくに寝る前)
- 歯みがきを「遊び」に変える
- 自分で選ばせて、やる気を引き出す
- 寝かせ磨きの姿勢と痛くない磨き方を工夫する
- できたら大げさにほめる
今日からまず1つ:今夜の歯みがきを「バイキンさん探し」にしてみましょう。「奥歯さんにバイキンいるかな?」の一言で、子どもの表情が変わります。うまくいかなくても大丈夫。「口を開けてくれた」だけで、まずは大成功です。
歯みがきは、毎日のことだからこそ、親子でつらい時間にしたくないですよね。
目指すのは、完璧にきれいに磨くことではありません。
「歯みがきって気持ちいい」「楽しい」と子どもが感じてくれることです。
その気持ちさえ育てば、あとは自然と続いていきます。
あわせて、偏食・好き嫌いの克服や寝かしつけのコツ、睡眠時間の整え方も読んでおくと、毎日の生活リズムがぐっと整いますよ。
今日も、おつかれさまです。
あなたと子どもの毎晩が、少しでも笑顔になりますように。
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