予定より早く、小さく生まれた赤ちゃん。
NICU(新生児集中治療室)で頑張るわが子を見ながら、「入院費っていくらかかるんだろう」「養育医療って何?」「どうやって申請するの?」と、不安でいっぱいになっていませんか。
そんなときに、赤ちゃんの入院治療の費用を公費で助けてくれるのが「未熟児養育医療(養育医療給付制度)」です。
この記事では、未熟児養育医療の対象になる赤ちゃん・自己負担のしくみ・必要書類・申請から養育医療券が届くまでの流れ5ステップ・早見表・よくある質問7問まで、はじめての方にもわかるよう、いちばんやさしい言葉でまとめました。
読み終わるころには、「まず、どこに連絡すればいいか」がはっきり分かるはずです。
※この記事は2026年8月時点の制度をもとに書いています。金額・条件・書類の名前・窓口・申請できる期限は、お住まいの市区町村や年度によって変わります。実際に進めるときは、必ずお住まいの市区町村(保健所・保健センター)で最新の内容をご確認ください。
📚 あわせて読みたい「出産・赤ちゃんの手続き」シリーズ
この記事とセットで読むと、赤ちゃんが生まれてからの手続きの全体像がつかめます。
・赤ちゃんが生まれたらすること・出産後の手続き一式ガイド
・乳幼児医療費助成(子ども医療費)の申請方法ガイド
・子どもを健康保険に入れる手続きガイド
未熟児養育医療って、そもそも何?
未熟児養育医療(正しくは「養育医療給付制度」)は、ひとことで言うと「小さく生まれて入院が必要な赤ちゃんの、入院治療の費用を公費で助けてくれる制度」です。
「母子保健法」という法律にもとづいて、全国の市区町村が行っています。
予定より早く生まれたり、とても小さく生まれたりした赤ちゃんは、体の機能がまだ十分に育っていないことがあります。
そのため、生まれてすぐにNICUなどで治療や見守りが必要になることがあります。
その入院治療にかかる医療費を、お住まいの市区町村が保護者に代わって負担してくれるのが、この養育医療というわけです。
大切なポイントは、対象になるのは「指定養育医療機関」で受ける入院治療だということ。
多くの総合病院やこども病院が指定を受けていますが、念のため入院先の病院に「養育医療の指定を受けていますか」と確認しておくと安心です。
💡 ここが安心ポイント
養育医療は、多くの自治体で「現物給付(げんぶつきゅうふ)」というしくみです。つまり、いったん全額を立て替えてあとで払い戻す、という面倒がありません。「養育医療券」を病院の窓口に出せば、その場で費用の精算が済みます。自己負担は保護者の収入に応じて決まりますが、その分も乳幼児医療費助成(子ども医療費)と組み合わせることで、実質0円になる自治体がたくさんあります。「高額な入院費を全部払うのでは…」と心配しなくて大丈夫です。
「わたしのせいかも」と自分を責めていませんか
小さく生まれた赤ちゃんを前に、多くのママ・パパが「わたしのせいで小さく生まれたのかもしれない」と、自分を責めてしまいます。
「あのとき無理をしたから」「もっと気をつけていれば」——そんな思いが、夜中にふと押し寄せてくることもありますよね。
でも、どうか覚えておいてください。
赤ちゃんが早く小さく生まれるのには、さまざまな理由が重なっています。
それは、あなたひとりのせいでは決してありません。
こうやって自分を責めてしまう気持ちを、心理学では「自責感(じせきかん)」と呼びます。
これは、わが子を大切に思う親ほど強く感じるものだと言われています。
つまり、あなたが自分を責めてしまうのは、それだけ深く赤ちゃんを愛している証拠なのです。
今、あなたがすべきことは、自分を責めることではありません。
赤ちゃんが安心して治療を受けられるように、使える制度をきちんと使ってあげること。
それが、いちばんの愛情のかたちです。
未熟児養育医療の対象になるのはどんな赤ちゃん?
「うちの子は対象になるのかな?」というのは、いちばん気になるところですよね。
対象になるのは、体の発育が未熟なまま生まれ、医師が「入院しての治療(養育)が必要」と認めた0歳の赤ちゃんです。
目安として、次のような赤ちゃんが対象になります。
- 出生体重が2,000グラム以下の赤ちゃん
- 在胎37週未満(早産)で生まれた赤ちゃん
- 体温が低い、呼吸が弱い、母乳やミルクをうまく飲めない、黄だん(皮ふが黄色くなる症状)が強いなど、未熟なために一定の症状が見られる赤ちゃん
くわしい症状の条件は、担当のお医者さんが「養育医療意見書」という書類に書いてくれます。
ですから、対象になるかどうかを親御さんが自分で判断する必要はありません。
「養育医療の対象になりますか?」と、入院先の病院やお住まいの保健センターに聞けば教えてもらえます。
💡 対象年齢は「1歳の誕生日の前々日まで」
養育医療で費用を助けてもらえるのは、赤ちゃんが満1歳になる前まで(1歳の誕生日の前々日まで)の入院治療です。つまり0歳のうちが対象。長く入院が続く場合は「継続」の手続きをすることで、この期間まで助成を受けられます。
先が見えないときは、今日できる一つに目を向けて
赤ちゃんが入院していると、毎日が不安の連続ですよね。
「いつ退院できるの」「後遺症は残らないの」——考えても答えの出ないことばかりで、心がすり減ってしまいます。
そんなときに少しだけ心を軽くするコツがあります。
それは、「自分にコントロールできること」に目を向けることです。
赤ちゃんの回復のスピードは、親がどうにかできるものではありません。
でも、養育医療の申請を進める・書類を用意する・分からないことを窓口に聞く——これは、あなたが今日できることです。
自分にできることに一つずつ取り組むと、気持ちが少し前を向きます。
これを心理学では「コントロール感(自分で状況に働きかけられる感覚)」と呼びます。
先の見えない不安の中でも、「今日できる一つ」に手をつけるだけで、心は少し落ち着くのです。
この記事の後半に申請の流れの早見表を用意しました。
それを見ながら、「次にやること」を1つだけ決めてみてください。
申請のときに「やりがちな3つのNG」
手続きを進める前に、多くの先輩ママ・パパがつまずいた「もったいないポイント」を3つだけお伝えします。
NG1:「落ち着いてから」と申請を後回しにする
入院でバタバタしていると、つい手続きが後回しになりがちです。
でも、養育医療は入院してからできるだけ早く申請するのが大切です。
自治体によっては「申請できる期限」が決められていることもあります。
「落ち着いてから」ではなく、入院が決まったら、まず窓口に一報を入れるのが安心です。
NG2:「うちは収入があるから対象外」と思い込む
養育医療は、収入で「対象になる・ならない」が決まる制度ではありません。
収入によって変わるのは「自己負担の金額」だけです。
しかも、その自己負担も乳幼児医療費助成と組み合わせれば実質0円になる自治体が多いのです。
「共働きだからうちは無理かも」とあきらめず、まずは申請してください。
NG3:全部ひとりで抱え込んで調べ続ける
ネットで調べるほど、自治体ごとに書類名や手順が違って、かえって混乱してしまいます。
養育医療の手続きは、病院のソーシャルワーカー(相談員)さんや、市区町村の保健センターが強い味方です。
分からないことは、調べる前に聞くのがいちばんの近道。
プロは毎日この手続きを見ているので、あなたの状況に合った進め方を教えてくれます。
手続きをスムーズに進める5つのコツ
ここからは、実際に動き出すときに役立つ、具体的なコツを5つご紹介します。
コツ1:まず病院の相談員さんに声をかける
大きな病院には「医療ソーシャルワーカー」という相談の専門家がいます。
「養育医療の申請をしたいのですが」と声をかければ、意見書のことや必要な書類を教えてくれます。
入院中は病院が窓口になってくれることも多いので、まずはここから始めましょう。
コツ2:養育医療意見書は「早めに」お願いする
申請には、担当医が書く「養育医療意見書」が必ず必要です。
この書類は、お医者さんに書いてもらうのに数日〜数週間かかることもあります。
「養育医療の申請に使う意見書をお願いします」と、早めに担当医に伝えておきましょう。
コツ3:赤ちゃんの健康保険を先に済ませておく
養育医療の申請には、赤ちゃんの健康保険の情報が必要になります。
出生届のあと、赤ちゃんを健康保険に入れる手続きを早めに済ませておくとスムーズです。
くわしくは子どもを健康保険に入れる手続きガイドもあわせてどうぞ。
コツ4:乳幼児医療費助成も同時に申請する
養育医療の自己負担分は、乳幼児医療費助成(子ども医療費)でさらに軽くなることがほとんどです。
この2つはセットで考えると、実質の負担がぐっと減ります。
養育医療とあわせて、乳幼児医療費助成も忘れずに申請しておきましょう(→乳幼児医療費助成の申請方法ガイド)。
コツ5:「いつ・何をやるか」を紙に書いて1つずつ
入院中はやることが多く、頭の中だけで管理するのは大変です。
「今日=保健センターに電話」「明日=意見書を担当医に依頼」のように、日にちとセットでメモに書き出しましょう。
1つ終わったら線で消す。
これだけで、複雑な手続きがぐっと進みやすくなります。
📋 申請から利用開始までの流れ5ステップ早見表
養育医療を申請して、養育医療券を受け取るまでの流れを、一覧にまとめました。
全体像をつかんでおくと安心です(自治体によって順番や書類名が少し違います)。
| ステップ | やること | 相談先・窓口 | 準備するもの | 目安の期間 |
|---|---|---|---|---|
| ①相談・確認 | 「養育医療を申請したい」と伝え、進め方を確認 | 病院の相談員/市区町村の保健センター | 特になし(電話でOK) | 入院後すぐ |
| ②意見書の依頼 | 担当医に「養育医療意見書」を書いてもらう | 入院先の担当医 | 意見書の様式(窓口・病院でもらう) | 数日〜2週間 |
| ③書類をそろえる | 申請書・世帯調書・保険の書類などを用意 | 市区町村の窓口/病院 | 下の「必要書類チェックリスト」参照 | 数日 |
| ④申請書の提出 | 書類一式を窓口に提出 | 市区町村の保健センター等 | 申請書・意見書・世帯調書・保険情報・マイナンバー | 1日(提出) |
| ⑤養育医療券の受け取り | 券を受け取り、病院の窓口に提出 | 市区町村→保護者→病院 | 養育医療券 | 申請から3〜4週間 |
気になる「自己負担」はいくら?
お金のことは、いちばん心配ですよね。
養育医療の自己負担は、保護者(扶養している家族)の収入(市町村民税の額)に応じて決まります。
入院した日数に応じて、日割りで計算されるのが基本です。
ただし、ここがいちばん大事なポイントです。
その自己負担分も、乳幼児医療費助成(子ども医療費)と組み合わせることで、実質0円やわずかな負担になる自治体がとても多いのです。
| 世帯の状況 | 養育医療の自己負担の考え方 |
|---|---|
| 生活保護を受けている世帯 | 0円 |
| 市町村民税が非課税の世帯(収入が少なめの世帯) | 0円 |
| 市町村民税が課税されている世帯 | 収入に応じて日割りの自己負担(多くは乳幼児医療費助成で軽減・実質0円の自治体も) |
注意したいのは、入院中のミルク代や、おむつ代などは養育医療の対象外になることがある点です。
こうした細かい部分は、申請のときに窓口で確認しておくと安心です。
申請に必要な書類チェックリスト
いざ申請というときに、慌てないように。
一般的に必要になるものをまとめました(自治体で少し違うので、事前に窓口で確認してくださいね)。
- ☑ 養育医療給付申請書(窓口でもらう/自治体サイトからダウンロード)
- ☑ 養育医療意見書(担当医が記入したもの)
- ☑ 世帯調書(世帯の状況や収入を書く書類)
- ☑ 赤ちゃんの健康保険が分かるもの(資格確認書・保険証・マイナ保険証の情報など)
- ☑ 保護者と赤ちゃんのマイナンバーが分かるもの
- ☑ 保護者の本人確認書類
- ☑ 世帯の課税(所得)が分かる書類(自治体で確認できる場合は不要なことも)
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❓ よくある質問(FAQ7問)
Q1. 収入が多い家庭でも申請できますか?
はい、できます。
養育医療は収入で「対象になる・ならない」が決まる制度ではありません。
収入によって変わるのは自己負担の金額だけで、その分も乳幼児医療費助成で軽くなることが多いです。
「共働きだから」とあきらめず、まず申請しましょう。
Q2. いつまでに申請すればいいですか?
できるだけ早く、入院が決まったらすぐが基本です。
自治体によっては申請できる期限が決められていることもあります。
券が届く前の入院分もさかのぼって助成される場合があるので、まずは早めに窓口へ相談してください。
Q3. 養育医療券が届く前に退院した場合はどうなりますか?
多くの自治体で、申請していれば入院していた期間にさかのぼって助成されるしくみになっています。
いったん自分で払った場合も、あとから払い戻しを受けられることがあります。
まずは申請を済ませ、退院時の領収書は必ず取っておきましょう。
Q4. 乳幼児医療費助成があれば、養育医療は申請しなくてもいい?
両方申請するのがおすすめです。
養育医療が先に入院費を助成し、その残りの自己負担を乳幼児医療費助成がカバーする、という2段構えになります。
順番や組み合わせは自治体によって違うので、窓口で「両方申請したい」と伝えてください。
Q5. どこの病院でも養育医療は使えますか?
いいえ、「指定養育医療機関」での入院治療が対象です。
NICUのある総合病院やこども病院の多くは指定を受けています。
念のため、入院先に「養育医療の指定病院ですか」と確認しておくと安心です。
Q6. 申請の窓口はどこですか?
お住まいの市区町村の保健センター(保健所)や母子保健の窓口が基本です。
入院中は病院の相談員さんが手続きを手伝ってくれることも多いです。
どこに行けばいいか分からないときは、市区町村の代表電話に「養育医療の申請について」と聞けば案内してもらえます。
Q7. 退院後にも使える制度はありますか?
あります。
退院後の通院やお薬は乳幼児医療費助成が助けてくれます。
また、児童手当など、赤ちゃんが生まれた家庭が使える制度もあわせて確認しておきましょう。
🌱 この記事のまとめ
・未熟児養育医療は、小さく生まれて入院が必要な0歳の赤ちゃんの入院費を公費で助けてくれる制度です。
・対象は出生体重2,000g以下・在胎37週未満などで、医師が入院治療を必要と認めた赤ちゃん。対象は1歳になる前まで。
・収入で対象が決まるわけではなく、自己負担も乳幼児医療費助成と組み合わせて実質0円の自治体が多いです。
・申請には担当医の「養育医療意見書」が必要。書いてもらうのに時間がかかるので早めに依頼を。
・まずは病院の相談員さん、または市区町村の保健センターに一報から。ひとりで抱えないで大丈夫です。
※2026年8月時点の情報です。金額・条件・書類・期限はお住まいの市区町村で必ずご確認ください。
おわりに——「申請してみる」だけで、十分えらい
小さく生まれた赤ちゃんを見守る日々は、不安と心配の連続だと思います。
でも、ここまで読んでくださったあなたは、もう「わが子のために動こう」としています。
それだけで、十分すてきなママ・パパです。
完璧に理解してから動く必要はありません。
むしろ、分からないまま「養育医療のことで相談したいんです」と電話するのが正解です。
そのひとことから、すべてが動き出します。
今日、まず1つだけ「次にやること」を決めてみてください。
お金の心配を少しでも減らして、あなたが赤ちゃんのそばで安心して過ごせますように。
赤ちゃんが生まれてからの手続きの全体像は出産後の手続き一式ガイドに、退院後の医療費のことは乳幼児医療費助成ガイドにまとめています。あわせて読んでみてくださいね。
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