「子どもが熱を出したけど、病院代がこわくて受診をためらってしまう」——ひとり親家庭のパパ・ママにとって、医療費の不安はとても大きいものですよね。
そんなときに力になってくれるのが、ひとり親家庭等医療費助成制度です。
通称「マル親(まるおや)」と呼ばれ、ひとり親家庭の親と子どもの医療費の自己負担を、住んでいる自治体が助けてくれる制度です。
この記事では、マル親の対象になる人、所得制限の考え方、準備するもの、申請の流れ5ステップ、そして「自己負担がどれくらい軽くなるかの早見表」まで、はじめての方でもわかるようにやさしく解説します。
「うちは対象かな?」「どこに行けばいいの?」という不安が、読み終わるころにはスッと軽くなるはずです。
まずは「こんな制度があるんだ」と知ることから始めましょう。
ひとり親家庭の「お金と医療費」の不安をやわらげるシリーズ
本記事は、これらと合わせて使いたい「医療費の自己負担を軽くする」制度です。
「お金が心配で、つい受診をがまん」していませんか

ひとり親で子育てをしていると、医療費のことがいつも頭のすみにありますよね。
「これくらいの熱なら、様子を見よう」。
「自分の分は、あとまわしでいいや」。
そうやって、つい病院に行くのをがまんしてしまう方は少なくありません。
お金の心配から受診をためらってしまうことを、心理学や医療の世界では「経済的な理由による受診控え」と呼びます。
つまり、お金がこわくて、必要な受診まで先のばしにしてしまう状態のことですね。
でも、受診を遅らせると、かえって症状が重くなってしまうこともあります。
結果として、もっとお金も時間もかかってしまう。
これでは、親も子どももつらいですよね。
マル親は、こうした「お金が心配で病院に行けない」を防ぐための制度です。
医療費の自己負担が軽くなるとわかっていれば、「早めに診てもらおう」と思えます。
安心して早めに受診できることは、子どもの健康にも、親の心にも、とても大切なことなのです。
核心:ひとり親家庭等医療費助成(マル親)は、「ひとり親家庭の親と子どもが、健康保険を使ったときの自己負担分を、自治体に助けてもらえる」制度です。住民税が非課税の家庭なら自己負担なしになる自治体も多く、課税世帯でも負担がぐっと軽くなります。まずはお住まいの市区町村の窓口に相談することが、はじめの一歩です。
マル親ってどんな制度?対象になる人をチェック

マル親は、ひとり親家庭の親と子どもの医療費を助けてくれる制度です。
正式には「ひとり親家庭等医療費助成制度」といいます。
健康保険を使って病院にかかったとき、窓口で払う自己負担分を、自治体が助成してくれます。
この制度は、だれでも使えるわけではありません。
対象になる人が決まっているので、まずは自分が当てはまるか見てみましょう。
おおまかには、次のような方が対象です。
- ひとり親家庭のお母さん・お父さんで、子どもを育てている方
- 両親のいない子どもを育てている養育者(祖父母など)
- ひとり親家庭の子ども(18歳になった年度の3月末まで。障害がある場合は20歳未満まで)
「ひとり親」とは、離婚や死別のほか、いろいろな事情でひとりで子育てをしている状態を指します。
くわしい条件は自治体によって少しずつ違います。
「自分は当てはまるのかな?」と迷ったら、窓口で相談すれば教えてもらえますよ。
医療費はどれくらい軽くなる?自己負担の早見表
いちばん気になるのは、「実際にどれくらい安くなるの?」というところですよね。
助成の中身は自治体によって変わりますが、東京都を例に見てみましょう。
大きく分けて、住民税が課税の世帯か非課税の世帯かで、自己負担の重さが変わります。
「非課税」とは、収入が少なくて住民税がかからない世帯のことですね。

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ふだん健康保険では、医療費の3割(子どもや年齢によっては2割)を窓口で払いますよね。
マル親を使うと、その自己負担がさらに軽くなる、というイメージです。
非課税の世帯なら、通院も入院も自己負担なしになる自治体が多いです。
課税世帯でも、1割負担で、しかもひと月の上限が決まっています。
「入院で何十万円も…」という心配が、ぐっと小さくなりますね。
ただし、健康保険が使えない費用は助成の対象外です。
健診・予防接種・差額ベッド代・入院中の食事代などは、自分で払うことになります。
医療費が思った以上に高くなったときは、高額療養費制度もあわせて使えます。
申し込む前に知っておきたい3つの勘違い

マル親でつまずきやすい「よくある勘違い」を3つ紹介します。
先に知っておくと、あわてず動けますよ。
勘違い1:申請しなくても自動でもらえる
マル親は、自分で申請しないと始まりません。
離婚や死別でひとり親になっても、役所が自動で手続きをしてくれるわけではないのです。
「知らなかったから、ずっと3割払っていた」というのは、本当にもったいないこと。
対象かなと思ったら、まず窓口に相談してみましょう。
ひとり親になったときの手続き全般は児童扶養手当の記事もあわせて読むと安心です。
勘違い2:申請した日より前の医療費も戻ってくる
助成が受けられるのは、原則として申請した日からです。
「先月かかった分もさかのぼって戻る」とはならないことが多いです。
だからこそ、対象になったら1日でも早く申請するのが大切なのですね。
医療証が届く前にかかった分は、あとから払い戻し(償還払い)できる自治体もあります。
領収書は捨てずに取っておきましょう。
勘違い3:所得が高いと絶対に使えない
マル親には所得制限があります。
でも、「共働きじゃないから」とあきらめる前に、一度確認してほしいのです。
所得制限のラインは、児童扶養手当と同じ基準にしている自治体が多くあります。
「手当は少しオーバーしていたけど、医療費助成は対象だった」というケースもあります。
金額のラインは自治体で違うので、自己判断せず窓口で聞いてみましょう。
申請の流れ5ステップ

実際に申し込むときの流れを、5つのステップで見ていきましょう。
「まず何をすればいいの?」がはっきりすると、動きやすくなります。
ステップ1:窓口に問い合わせる
まずは、お住まいの市区町村の窓口に問い合わせます。
「子ども家庭課」「こども福祉課」「保険年金課」などが担当していることが多いです。
電話で「ひとり親家庭等医療費助成(マル親)の申請がしたい」と伝えれば大丈夫です。
そのとき、必要な書類も一緒に教えてもらえます。
ステップ2:必要な書類をそろえる
教えてもらった書類を集めます。
戸籍謄本など、取り寄せに時間がかかるものもあります。
次の見出しでチェックリストを用意したので、参考にしてください。
わからない書類があれば、遠慮なく窓口で聞きましょう。
ステップ3:窓口で申請する
書類がそろったら、窓口で申請します。
申請書はその場で書けることが多いです。
担当の方が、対象になるか・所得制限に当てはまらないかを確認します。
お金のことを人に話すのは勇気がいりますが、担当者は味方です。
ステップ4:審査を待つ
申請した内容をもとに、自治体が審査をします。
対象に当てはまるか、所得が制限内かなどを確認します。
結果が出るまで、少し時間がかかることがあります。
この間に医療機関にかかった分は、領収書を取っておきましょう。
ステップ5:医療証を受け取る
審査に通ると、「マル親医療証」などの名前の医療証が届きます。
病院にかかるときは、健康保険証と一緒にこの医療証を出します。
すると、窓口での支払いが軽くなります。
医療証は毎年1回更新があるので、届いた案内には忘れず対応しましょう。
準備するもの チェックリスト

申請のときに必要になりやすい書類をまとめました。
自治体によって変わるので、最終的には窓口で確認してくださいね。
- ひとり親家庭等医療費助成の申請書(窓口でもらえます)
- 児童扶養手当証書(持っている場合。これがあると手続きが早いことが多い)
- 戸籍謄本(手当証書がない場合。ひとり親であることを確認するため)
- 健康保険の資格が確認できるもの(健康保険証・資格確認書など)
- 本人確認ができるもの(マイナンバーカード・運転免許証など)
- マイナンバー(個人番号)が分かるもの
- 前年(または前々年)の所得・課税証明書(手当証書がない場合)
- お金を振り込む口座の分かるもの・印鑑
「戸籍謄本」は、本籍のある市区町村で取ります。
取り寄せに時間がかかることもあるので、早めに準備しておくと安心です。
離婚や死別のあとの手続き全般は出産後・入園後の手続きガイドや母子父子寡婦福祉資金貸付金の記事もあわせてどうぞ。
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よくある質問(FAQ)
Q1.父子家庭(パパ)でも使えますか?
使えます。
マル親は「母子家庭」だけでなく「父子家庭のお父さん」も対象です。
ひとりで子育てをしているお父さんも、遠慮なく相談してください。
Q2.子どもの医療費助成(マル乳・マル子)と何が違うの?
多くの自治体には、子どもの医療費を助ける「子ども医療費助成」もあります。
マル親は、その子どもに加えて親自身の医療費も対象になるのが大きな違いです。
どちらが得になるかは自治体で変わるので、窓口で確認しましょう。
Q3.生活保護を受けていても使えますか?
生活保護を受けている場合は、マル親の対象外になります。
生活保護のほうで医療費が支えられるためです。
くわしくは、担当のケースワーカーや窓口に相談してください。
Q4.どんな費用が対象外になりますか?
健康保険が使えない費用は対象外です。
具体的には、健診・予防接種・差額ベッド代・薬の容器代・入院中の食事代などです。
「保険がきく治療の自己負担分」が助成の対象、と覚えておくとわかりやすいですよ。
Q5.引っ越したらどうなりますか?
マル親は自治体ごとの制度なので、引っ越すと手続きが必要です。
前の自治体で「やめる手続き」を、新しい自治体で「申請の手続き」をします。
引っ越しのときは、忘れずに両方の窓口で確認しましょう。
Q6.医療証は毎年更新が必要ですか?
はい、多くの自治体で年に1回の更新があります。
更新の時期になると、自治体から案内や「現況届」が届きます。
そのままにしておくと助成が止まってしまうので、届いたら早めに対応しましょう。
Q7.ほかのひとり親向けの制度と一緒に使えますか?
使えます。
児童扶養手当や就学援助、福祉資金の貸付などと組み合わせて使えます。
心のケアや暮らしの工夫はひとり親の心のケアの記事やひとり親の子育てのコツも参考にしてくださいね。
まとめ:まず窓口に「相談」から
ひとり親家庭等医療費助成(マル親)は、親と子どもの医療費の不安をやわらげてくれる、心強い制度です。
最後に大事なポイントをまとめます。
まず避けたい3つの勘違い
- 申請しなくても自動でもらえる → 自分で申請しないと始まらない
- 前の医療費もさかのぼって戻る → 原則は申請した日から
- 所得が高いと絶対に使えない → 児童扶養手当と同じ基準の自治体が多い。まず確認を
覚えておきたい5つのこと
- 対象はひとり親家庭の親と、18歳になる年度末までの子ども
- 非課税世帯は自己負担なしの自治体が多い。課税世帯も1割で上限つき
- 健診・予防接種・差額ベッド代などは対象外
- 流れは「問い合わせ→書類集め→申請→審査→医療証を受け取る」の5ステップ
- 医療証は年に1回の更新がある
今日からまず1つ:お住まいの市区町村の「子ども家庭課」または「こども福祉課」に電話して、「ひとり親家庭等医療費助成(マル親)の相談がしたい」と伝えてみましょう。それだけで、医療費の不安が一歩軽くなります。
制度の内容や所得制限のラインは、お住まいの市区町村や年度によって変わります。
この記事は2026年9月時点の一般的な内容をまとめたものです。
申請の前には、必ずお住まいの市区町村の窓口で最新の情報を確認してくださいね。
医療費の制度は「知っているかどうか」だけで、受けられる支えが大きく変わります。
「うちは無理かも」と思っても、まずは相談から。
あわせて児童扶養手当・高額療養費制度・小児慢性特定疾病の医療費助成も知っておくと、いざというときに安心です。
あなたと、お子さんの毎日が、少しでも安心できるものになりますように。
参考(公式サイト・2026年10月確認)
- ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)(東京都福祉局)
- ひとり親家庭等医療費等助成事業について(千葉県 健康福祉部 子育て支援課)
制度の内容は変わることがあります。手続きの前に公式サイトとお住まいの自治体で最新の情報を確認してください。