「進学のお金が足りない」「離婚して収入が減り、生活が回らない」——ひとり親家庭のパパ・ママにとって、お金の不安は本当に大きいものですよね。
そんなときに力になってくれるのが、母子父子寡婦福祉資金貸付金という国の制度です。
これは、ひとり親家庭のお父さん・お母さんや寡婦(かつてひとり親だった方)が、進学や生活のためのお金を、無利子または低い利子で借りられる公的な貸付制度です。
この記事では、12種類ある資金の中身、対象になる人、借りるまでの流れ5ステップ、必要書類、そして「早見表」まで、はじめての方でも分かるようにやさしく解説します。
あわせて、児童扶養手当・高校の授業料の支援・就学援助といった「もらえるお金」の制度も組み合わせると、家計はぐっとラクになります。
まずは「こんな制度があるんだ」と知ることから始めましょう。
ひとり親家庭のお金の不安をやわらげる「お金と制度」シリーズ
- 【手当編】児童扶養手当の申請方法|対象・金額・所得制限
- 【進学編】高等学校等就学支援金(高校授業料の無償化)
- 【就学編】就学援助制度|学用品費・給食費の負担を軽くする
本記事は、これらと合わせて使いたい「借りられるお金」の制度です。
「どうせうちは対象じゃない」とあきらめていませんか

お金に困ったとき、「借りる」と聞くと少し身構えてしまう方は多いと思います。
「借金はこわい」「手続きが大変そう」「どうせ自分は対象外だろう」。
そう思って、調べる前にあきらめてしまう。
人は変化よりも「今のまま」を選びやすい生きものです。
心理学ではこれを現状維持バイアスと呼びます。
つまり、動くのが面倒で、つい後回しにしてしまう心のクセのことですね。
でも、この制度は民間のローンとはまったく違います。
国と自治体が、ひとり親家庭の自立を応援するために作った制度です。
連帯保証人(いっしょに返す約束をしてくれる人)を立てれば、多くの場合利子はゼロになります。
保証人がいなくても、進学のための「修学資金」などは利子ゼロで借りられます。
「知らなかった」というだけで、使えるはずの支えを逃してしまうのは、とてももったいないことです。
まずは中身を知って、「自分は使えるのかな?」と考えてみるところから始めましょう。
核心:母子父子寡婦福祉資金は「ひとり親家庭が、進学や生活のためのお金を、無利子または年1.0%の低い利子で借りられる」制度です。とくに子どもの進学に使う「修学資金」「就学支度資金」は、保証人がいなくても利子ゼロ。まず自治体の窓口に相談することが、はじめの一歩です。
この制度で借りられるお金は全部で12種類

母子父子寡婦福祉資金には、目的にあわせて12種類の資金があります。
むずかしそうな名前が並びますが、要は「何のためのお金か」で分かれているだけです。
いちばん多く使われているのが、子どもの進学に使う「修学資金」と「就学支度資金」です。
まずは代表的なものを、下の早見表で見てみましょう。
| 資金の名前 | どんなときに使う? | 保証人なしでも無利子? |
|---|---|---|
| 修学資金 | 高校・大学・専門学校などの授業料や通学費に | ◯ 無利子 |
| 就学支度資金 | 入学時の制服・教材など「入学の準備」に | ◯ 無利子 |
| 修業資金 | 子どもが技術や資格をとるための費用に | ◯ 無利子 |
| 就職支度資金 | 就職に必要なスーツ・通勤用品などに | ◯ 無利子 |
| 技能習得資金 | 親が仕事のための資格・技術を身につける費用に | 保証人ありで無利子/なしは年1.0% |
| 生活資金 | 技能を学ぶ間や離婚直後などの生活費に | 保証人ありで無利子/なしは年1.0% |
| 事業開始・継続資金 | 自分で事業を始める・続けるための費用に | 保証人ありで無利子/なしは年1.0% |
| 医療介護資金 | 病気やケガの医療費・介護費に | 保証人ありで無利子/なしは年1.0% |
| 住宅・転宅資金 | 住まいの修理・引っ越しの費用に | 保証人ありで無利子/なしは年1.0% |
| 結婚資金 | 子どもの結婚にかかる費用に | 保証人ありで無利子/なしは年1.0% |
ここで大事なポイントが1つあります。
子どもの進学に関わる「修学資金」「就学支度資金」「修業資金」「就職支度資金」は、連帯保証人がいなくても利子ゼロで借りられます。
「保証人を頼める人がいない…」という方でも、進学のお金は安心して相談できるということですね。
そのほかの資金は、連帯保証人を立てれば無利子、立てない場合は年1.0%の利子がつきます(2026年8月時点)。
年1.0%は、民間のカードローンなどと比べるととても低い利子です。
借りられるのはどんな人?対象になる人をチェック

この制度は、だれでも借りられるわけではありません。
ひとり親家庭やその子どもなど、対象になる人が決まっています。
おおまかには、次のような方が対象です。
- 母子家庭のお母さんと、その扶養している20歳未満の子ども
- 父子家庭のお父さんと、その扶養している20歳未満の子ども
- 寡婦(かつてひとり親として子どもを育てていた、配偶者のいない女性)
- 父母のいない20歳未満の子ども(この場合は代わりの大人の同意が必要)
「配偶者がいない」とは、離婚・死別のほか、事実上ひとりで子育てしている状態も含まれる場合があります。
くわしい条件は自治体によって少しずつ違います。
「自分は当てはまるのかな?」と迷ったら、窓口で相談すれば教えてもらえます。
また、借りるには「お金を返していける見通しがあること」も確認されます。
これは、無理な借入で家計がさらに苦しくならないための大切な確認です。
申し込む前に知っておきたい3つの勘違い

この制度でつまずきやすい「よくある勘違い」を3つ紹介します。
先に知っておくと、あわてず動けますよ。
勘違い1:思い立ったらすぐ借りられる
この制度は、申し込んですぐお金が振り込まれるものではありません。
相談 → 面談 → 審査 → 決定、という流れをふみます。
とくに入学の準備に使う「就学支度資金」は、入学が決まる前に相談を始めるのが大切です。
お金が必要になる時期から逆算して、早めに窓口へ行きましょう。
進学のお金の全体像は高校授業料の支援の記事もあわせて読むと安心です。
勘違い2:手当をもらっていると借りられない
「児童扶養手当をもらっているから、貸付は無理でしょ?」と思う方がいます。
そんなことはありません。
児童扶養手当のような「もらえるお金」と、この「借りられるお金」は別の制度です。
両方を組み合わせて使うことができます。
手当で毎月の生活を支え、大きな出費は貸付で乗りきる、という使い方ができるのです。
勘違い3:借りたらすぐ返し始めないといけない
「借りた翌月から返済が始まったら、生活が回らない」と心配になりますよね。
でも、この制度には「返し始めるまでの猶予期間」があります。
むずかしい言葉では据置期間といいます。
たとえば修学資金なら、子どもが学校を卒業してから返し始める形になります。
在学中は返済をしなくてよいので、学びに集中できるということですね。
借りるまでの流れ5ステップ

実際に申し込むときの流れを、5つのステップで見ていきましょう。
「まず何をすればいいの?」がはっきりすると、動きやすくなります。
ステップ1:窓口に相談する
まずは、お住まいの市区町村の窓口に相談します。
市にお住まいなら「子ども家庭課」や「福祉事務所」、町村なら都道府県の保健福祉事務所が窓口です。
電話で「母子父子寡婦福祉資金のことで相談したい」と伝えれば大丈夫です。
いきなり申請するのではなく、まず相談から始まるのがこの制度の特徴です。
ステップ2:面談で状況を伝える
窓口では、担当の方と面談をします。
家庭の状況、何にいくら必要か、返していける見通しなどを話します。
ここで「どの資金が合っているか」も一緒に考えてもらえます。
お金のことを人に話すのは勇気がいりますが、担当者は味方です。
正直に伝えることが、いちばんの近道になります。
ステップ3:必要書類をそろえて申請する
面談で方向が決まったら、必要書類をそろえて正式に申請します。
書類は自治体や資金の種類によって変わります。
次の見出しでチェックリストを用意したので、参考にしてください。
分からない書類があれば、窓口で1つずつ教えてもらえます。
ステップ4:審査を待つ
申請した内容をもとに、自治体が審査をします。
対象に当てはまるか、返していける見通しがあるかなどを確認します。
審査には時間がかかることがあります。
お金が必要な時期の1〜2か月前には動き始めると安心です。
ステップ5:決定・お金を受け取る
審査に通ると、貸付の決定通知が届きます。
その後、指定した口座にお金が振り込まれます。
修学資金のように、毎月や学期ごとに分けて振り込まれるものもあります。
受け取ったあとは、決められた目的にきちんと使いましょう。
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 窓口に相談 | 市=子ども家庭課/町村=県の保健福祉事務所 |
| 2 | 面談で状況を伝える | 合う資金を一緒に選んでもらえる |
| 3 | 必要書類をそろえて申請 | 種類ごとに書類が違う |
| 4 | 審査を待つ | 必要な時期の1〜2か月前に動く |
| 5 | 決定・お金を受け取る | 目的どおりに使う |
準備するもの チェックリスト

申請のときに必要になりやすい書類をまとめました。
資金の種類や自治体によって変わるので、最終的には窓口で確認してくださいね。
- 本人確認ができるもの(マイナンバーカード・運転免許証など)
- マイナンバー(個人番号)が分かるもの
- 戸籍謄本(ひとり親であることを確認するため)
- 世帯全員の住民票
- 収入が分かるもの(源泉徴収票・課税証明書など)
- お金の使いみちが分かるもの(学校の納付書・見積書など)
- 連帯保証人を立てる場合は、その方の書類
- お金を振り込む口座の分かるもの
「戸籍謄本」は、本籍のある市区町村で取ります。
取り寄せに時間がかかることもあるので、早めに準備しておくと安心です。
出産や離婚のあとの手続き全般は出産後の手続き一式ガイドもあわせてどうぞ。
🛍️ 入学・進学の準備に役立つグッズ
修学資金や就学支度資金で進学の準備をするとき、あると助かる「お名前シール」「名入れの文具」など、わが家で実際に使ってよかったアイテムは楽天ROOM(papasuta-room)にまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q1.審査に落ちることはありますか?
あります。
対象に当てはまらない場合や、返していける見通しが立たない場合は、借りられないこともあります。
ただ、窓口で相談すれば、ほかに使える制度を教えてもらえることも多いです。
まずは相談してみることが大切です。
Q2.パパ(父子家庭)でも借りられますか?
借りられます。
この制度は「母子」だけでなく「父子家庭のお父さん」も対象です。
ひとりで子育てをしているお父さんも、遠慮なく相談してください。
Q3.連帯保証人がどうしても見つかりません
子どもの進学に使う「修学資金」「就学支度資金」などは、保証人がいなくても利子ゼロで借りられます。
そのほかの資金も、保証人なしで年1.0%の利子をつけて借りることができます(2026年8月時点)。
「保証人がいないから無理」とあきらめる前に、窓口で相談してみましょう。
Q4.いくらまで借りられますか?
資金の種類ごとに、借りられる金額の上限が決まっています。
金額は自治体や年度によって変わります。
正確な金額は、お住まいの市区町村の窓口で確認してください。
Q5.返済が苦しくなったらどうすればいい?
まずは、早めに窓口に相談してください。
事情によっては、返し方の見直しなどに応じてもらえる場合があります。
一人でかかえこまず、連絡することがいちばん大切です。
Q6.児童扶養手当や就学援助と一緒に使えますか?
使えます。
児童扶養手当や就学援助は「もらえるお金」、この貸付は「借りるお金」で、別の制度です。
組み合わせて、家計全体を支えることができます。
Q7.相談するとお金を借りるよう勧められますか?
いいえ、そんなことはありません。
相談したからといって、必ず借りなければならないわけではありません。
「今の状況にはこの制度が合う」「別の支援のほうがいい」など、家庭に合った案内をしてもらえます。
心のケアや暮らしの工夫はひとり親の心のケアの記事やひとり親の子育てのコツも参考にしてください。
まとめ:まず窓口に「相談」から
母子父子寡婦福祉資金貸付金は、ひとり親家庭の「これから」を支えるための、心強い制度です。
最後に大事なポイントをまとめます。
まず避けたい3つの勘違い
- 申し込めばすぐ借りられる → 相談から審査まで時間がかかる
- 手当をもらっていると借りられない → 別制度なので両方使える
- 借りたらすぐ返済 → 返し始めるまでの猶予期間がある
覚えておきたい5つのこと
- 資金は全部で12種類。多いのは進学に使う修学資金・就学支度資金
- 進学系の資金は保証人がいなくても利子ゼロ
- 対象はひとり親家庭の親と子、寡婦など
- 流れは「相談→面談→申請→審査→決定」の5ステップ
- 必要な時期の1〜2か月前には動き始める
今日からまず1つ:お住まいの市区町村の「子ども家庭課」または「福祉事務所」に電話して、「母子父子寡婦福祉資金の相談がしたい」と伝えてみましょう。それだけで、道が一歩ひらけます。
制度の金額や条件は、お住まいの市区町村や年度によって変わります。
この記事は2026年8月時点の一般的な内容をまとめたものです。
申請の前には、必ずお住まいの市区町村の窓口で最新の情報を確認してくださいね。
お金の制度は「知っているかどうか」だけで、受けられる支えが大きく変わります。
「うちは無理かも」と思っても、まずは相談から。
あわせて児童扶養手当・高校授業料の支援・就学援助も使えば、ひとり親家庭の家計はもっと軽くなります。
あなたと、お子さんの毎日が、少しでも安心できるものになりますように。
コメント