「予防接種は赤ちゃんのころに終わったと思っていた」——そんなふうに感じている方は少なくありません。でも実は、学童期(小学生〜中学生)にも受ける予防接種があります。日本脳炎の2回目・二種混合(小6ごろ)・子宮頸がんを防ぐHPVワクチンなど、大切なのに間隔が大きくあくためいちばん受け忘れやすい時期です。しかも子どもが大きくなるほど「本人が嫌がる」「忙しくて後回し」になりがち。この記事では、小学生〜中学生で受け忘れやすい予防接種・年齢別の受け方・思春期の子への親の関わり方5つを、むずかしい言葉を避けてまとめました。「なぜ迷ってしまうのか」という気持ちの正体から、打ち忘れを取り戻す方法まで、これ1本でわかります。
予防接種は『乳児期→幼児期→学童期』の3つの時期でつながっています
- 【乳児期編】0歳で受ける予防接種の順番と5つの準備
- 【幼児期編】1歳〜就学前の予防接種と親のサポート法
- 【学童期編】本記事:小学生〜中学生の受け忘れやすい予防接種
※この記事は2026年7月時点の情報をもとにしています。予防接種の種類・受ける年齢・回数は、国の方針で変わることがあります。実際に受けるときは、お住まいの市区町村から届く予防接種のお知らせ・母子健康手帳・かかりつけの小児科で必ず最新の内容をご確認ください。
なぜ学童期の予防接種は「後回し」になりやすいの?(迷いの正体)
小学生になると、予防接種の間隔は一気に広がります。すると多くの家庭が「もう受けなくてもいいのでは」と迷い始めます。この迷い(ワクチンをためらう気持ち)には、世界の専門家が整理した3つの理由があると言われています(WHOという世界の健康を守る機関がまとめた考え方)。むずかしい言葉を使わずに言うと、次の3つです。
①信頼できるか迷う(このワクチンは本当に大丈夫?という不安)、②のんびりしてしまう(今は元気だし急がなくても、という油断)、③受けに行きづらい(忙しい・予約が面倒で後回し)。学童期はとくに②と③が起きやすい時期です。「今は元気」「習い事で忙しい」——この2つが重なると、大切な予防接種がすっぽり抜け落ちてしまいます。
もう1つ知っておきたいのが、人の危険の感じ方のクセです。心理学の研究(スロヴィックという研究者)によると、人は「珍しくてこわいニュース」は実際より大きく、逆に「ありふれた危険」は実際より小さく見積もりがちです。ワクチンのごくまれな副反応は大きく感じ、防げる病気にかかるリスクは小さく感じてしまう。だからこそ、数字と事実で冷静に判断することが、学童期ではより大切になります。
核心:学童期は「元気だから」「忙しいから」で後回しになりやすい時期。9歳・小6・中1の3つの節目を覚えておけば、日本脳炎2期・二種混合・HPVの受け忘れを防げます。迷ったら、ネットの噂ではなくかかりつけ医に事実を聞くのが後悔しない道です。
学童期の予防接種でやりがちな3つのNG
NG1:「もう予防接種は終わった」と思い込む
いちばん多い勘違いが、「予防接種は赤ちゃんと幼児で終わり」という思い込みです。実際には9歳の日本脳炎2回目・小6ごろの二種混合・中1前後のHPVと、学童期にも大切な予防接種が続きます。案内は届いていても、赤ちゃんのころのような切迫感がないため、封筒を開けないまま忘れてしまいがち。「学童期にも予防接種がある」とまず知ることが、最大の受け忘れ対策です。
NG2:噂やSNSの断片情報だけで判断してしまう
とくにHPVワクチンは、過去の報道の影響もあり、ネット上に不安をあおる断片的な情報があふれています。前で見たとおり、人は「こわいニュース」を大きく感じるクセがあります。大切なのは、噂ではなく信頼できる情報源(かかりつけ医・自治体・公的機関)で事実を確認すること。メリットもリスクも両方を正しく知ったうえで判断すれば、後悔しません。子どものネット情報との付き合い方はテレビ・ゲームと上手に付き合う5つの関わりの考え方も役立ちます。
NG3:子ども本人に理由を説明せず連れて行く
学童期の子は「なぜ受けるのか」を理解できる年齢です。それなのに「いいから行くよ」と理由も言わずに連れて行くと、こわさや反発だけが残ってしまいます。「この予防接種は〇〇という病気を防ぐためだよ」と本人にわかる言葉で説明すると、子どもは納得して前向きに受けられます。これは、自分の体を自分で大切にする力を育てるチャンスでもあります。子どもへの伝え方は幸せに育むポジティブしつけ術も参考に。
受け忘れを防ぐ!学童期の予防接種 親の関わり方5つ
1. 「学童期にも予防接種がある」と家族で共有する
まず出発点は、親自身が「小学生・中学生にも予防接種がある」と知ることです。母子手帳の予防接種ページを開いて、まだ空欄になっている項目(日本脳炎2期・二種混合・HPVなど)を確認しましょう。夫婦で「うちの子は何が残っている?」と一度話しておくだけで、届いた案内を見逃さなくなります。
2. 9歳の「日本脳炎2回目」を忘れずに受ける
幼児期に受けた日本脳炎には、9歳ごろに受ける2回目(第2期)があります。3歳・4歳の1期からかなり間があくため、いちばん忘れやすい予防接種の1つです。小学3〜4年生になったら日本脳炎の2回目——このタイミングを覚えておきましょう。案内が届いたら、その週のうちに予約するのがコツです。
3. 小6の「二種混合」を卒業前のミッションにする
二種混合(ジフテリアと破傷風を防ぐワクチン)は、11〜12歳(小学6年生ごろ)に受けます。小さいころに受けた予防接種の効果を、もう一段強めるための大切な追加接種です。小学校卒業でバタバタする前に、6年生になったら受けておくと安心。中学入学準備の「やることリスト」に入れておきましょう。
4. 中1前後の「HPVワクチン」を親子で正しく知って決める
HPVワクチン(子宮頸がんなどを防ぐ)は、小学6年生〜高校1年生相当の女の子が無料で受けられる定期接種です(標準は中学1年ごろ)。数か月かけて数回受けるため、早めに始めないと無料期間内に受け終わらないことも。過去に受け逃した年代の人が無料で受け直せる期間が設けられることもあります。不安や疑問は正常なこと。メリットもリスクも、かかりつけ医や自治体の資料で親子一緒に確認してから判断しましょう。
5. 打ち忘れた予防接種を「追いつき接種」で取り戻す
もし過去に受け忘れた予防接種があっても、あきらめる必要はありません。定期接種には無料で受けられる期限がありますが、期限内なら「追いつき接種(キャッチアップ)」で取り戻せます。まずは母子手帳を持ってかかりつけ医に相談し、「何が抜けていて、いつまでに受ければいいか」を一緒に確認しましょう。子どもの「やり抜く力」を育てる関わりは習い事『楽しさ基準』5つの見極め方もどうぞ。
年齢別・学童期の予防接種 早見表(小学生〜中学生の目安)
下の表は、2026年7月時点の一般的なスケジュールの目安です。年齢や対象は変わることがあるので、実際の予定は市区町村のお知らせ・かかりつけ医で必ず確認してください。
| 年齢・学年の目安 | 受ける主な予防接種 | ポイント | 親の関わり |
|---|---|---|---|
| 9歳ごろ(小3〜小4) | 日本脳炎2期(1回) | 1期から間があき忘れやすい | 案内が来たら早めに予約 |
| 11〜12歳(小6) | 二種混合(1回) | 卒業前に受けておく | 中学準備リストに入れる |
| 小6〜高1相当の女子 | HPV(子宮頸がん予防・数回) | 標準は中1ごろ・早めに開始 | 親子で事実を確認して判断 |
| 受け忘れがある場合 | 追いつき接種(キャッチアップ) | 期限内なら取り戻せる | 母子手帳を持って医師に相談 |
※HPVワクチンは数か月かけて複数回受けます。過去に受け逃した年代への無料の受け直し期間が設けられる場合があります。詳しくは自治体の案内をご確認ください。
学童期の予防接種 よくある質問(FAQ)
Q1. 日本脳炎の2回目、いつだったか忘れてしまいました。
母子手帳の予防接種ページを見れば、受けたかどうかが分かります。空欄なら、まだ受けていません。第2期は9歳から13歳になる前まで無料で受けられるので、気づいた時点でかかりつけ医に相談を。期限内なら遅れても受けられます。
Q2. HPVワクチンは受けた方がいいの?不安があります。
不安を感じるのは自然なことです。大切なのは、噂ではなく信頼できる情報で、メリットとリスクの両方を知ってから決めること。子宮頸がんを防ぐ効果が期待できる一方、心配な点があればかかりつけ医に遠慮なく質問しましょう。自治体が配る資料もわかりやすくまとまっています。親子で一緒に読んで判断してください。
Q3. 子どもが「注射いやだ」と受けたがりません。
学童期の子には理由を正直に説明するのが効果的です。「〇〇という病気を防ぐためだよ」「大人になってからの健康を守るんだよ」と、本人にわかる言葉で伝えましょう。頭ごなしに連れて行くより、納得して受ける方が、次の予防接種への抵抗も減ります。
Q4. 中学生になっても受けられる予防接種はありますか?
はい。HPVワクチンは高校1年生相当まで無料で受けられます。また、過去に受け逃した定期接種を期限内に追いつく「キャッチアップ」も可能な場合があります。「もう遅い」と思わず、まずは母子手帳を持って相談してみてください。
Q5. 部活や習い事で忙しく、予約する時間がありません。
「受けに行きづらい」は、受け忘れの大きな原因の1つです。土曜や夕方に予防接種を受けられる小児科を探したり、健診や別の受診のついでに相談したりすると、負担が減ります。まず1本、予約の電話を入れてしまえば、あとは流れに乗れます。
Q6. 引っ越しました。前の記録は使えますか?
母子手帳の記録がそのまま使えます。予防接種の記録は全国共通なので、引っ越し先の自治体でも続きから受けられます。新しい市区町村の窓口で「残っている予防接種を受けたい」と伝え、案内をもらいましょう。
Q7. 予防接種の情報、どこで確認するのが正しいですか?
いちばん確実なのはお住まいの市区町村の案内・母子手帳・かかりつけ医です。ネットの個人の体験談は参考程度にとどめ、判断の土台は公的な情報と医師の説明に置きましょう。分からないことは「こういうことですか?」と納得いくまで質問して大丈夫です。
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まとめ:学童期の予防接種は「知っていれば防げる受け忘れ」
まず避けたい3つのNG
- 「もう予防接種は終わった」と思い込む
- 噂やSNSの断片情報だけで判断する
- 子ども本人に理由を説明せず連れて行く
受け忘れを防ぐ5つの関わり
- 「学童期にも予防接種がある」と家族で共有
- 9歳の「日本脳炎2回目」を忘れずに
- 小6の「二種混合」を卒業前ミッションに
- 中1前後の「HPV」を親子で正しく知って決める
- 打ち忘れは「追いつき接種」で取り戻す
今日からまず1つ:母子手帳の予防接種ページを開いて、空欄になっている項目(日本脳炎2期・二種混合・HPV)がないか確認しましょう。抜けを見つけたら、それだけで受け忘れは防げます。
学童期の予防接種は、間隔が大きくあくぶん「知らなかった」「忘れていた」で受け逃しやすい時期です。でも裏を返せば、9歳・小6・中1の3つの節目さえ知っていれば防げるということ。子どもが大きくなった今だからこそ、「なぜ受けるのか」を本人と一緒に考えることが、自分の体を大切にする力を育てます。0歳の乳児期編、1歳〜就学前の幼児期編から続いた予防接種の道のりを、学童期でしっかり締めくくりましょう。
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