「育休を取りたいけれど、収入が減るのが不安…」「産後パパ育休っていつ・何日取れるの?」「育児休業給付金の申請って、どこに・いつ出せばいいの?」——赤ちゃんの誕生を控えたパパ・ママにとって、産後パパ育休(出生時育児休業)と育児休業給付金のしくみは、知っているかどうかで手取りも安心感も大きく変わります。この記事では、2025年4月から始まった「出生後休業支援給付金」で手取り実質10割になる新しいしくみを軸に、対象者・準備するもの・申請の流れ(ステップ1〜5)・窓口と期限・よくある質問7問まで、はじめての人にもわかりやすくまとめました。制度の名前がむずかしくても大丈夫。今日から動ける形に整理してあります。
妊娠・出産準備シリーズで『心・お金・手続き』の3つを整える
- 【心の準備編】妊娠がわかったら最初にやる安心準備リスト5ステップ
- 【パパの心構え編】出産に臨むパパの準備完全ガイド
- 【退院後の分担編】退院後のパパ育児スタート完全ガイド
本記事は、この3つと並ぶ「お金と手続き編」です。お金の不安が消えると、育休はぐっと取りやすくなります。
※ この記事は2026年7月時点の情報をもとにしています。金額の上限や条件・名称は年度や制度改正で変わることがあります。実際に申請するときは、必ず勤務先・お住まいの地域を管轄するハローワーク・年金事務所で最新の内容をご確認ください。
なぜパパは育休を「ためらう」のか(計画的行動理論+損失回避)
「本当は育休を取りたい。でも、なかなか一歩が踏み出せない」——これは意志の弱さではなく、行動を止める3つのブレーキが働いているからです。心理学の計画的行動理論(アイゼン)では、人が行動するかどうかは「①その行動をどう思うか(態度)」「②まわりの目(周囲からどう見られるか)」「③自分にやれそうか(できる感)」の3つで決まると考えます。パパ育休で言えば、①は前向きでも、②「職場で嫌がられないか」③「収入が減って家計が回るか」がブレーキになりやすいのです。
とくに大きいのが③のお金の不安です。行動経済学の損失回避(カーネマンとトベルスキーの研究)によると、人は「得をする喜び」より「損をする痛み」を約2倍強く感じます。「収入が減る」という損失の予感が、実際の減り幅以上に大きく感じられ、取得をためらわせるのです。ところが——後で詳しく見るように、2025年4月からのしくみを使えば、この「収入が減る損失」はほぼ消えます。ブレーキの正体を知り、制度で外していきましょう。
核心:パパ育休をためらう最大の理由は「収入が減る不安(損失回避)」。だが育児休業給付金(67%)+出生後休業支援給付金(13%上乗せ)+社会保険料の免除を組み合わせると、最大28日間は手取りで実質10割相当になる。「知らないから取れない」を、「知って動ける」に変えるのがこの記事のゴール。
この制度でできること(3つの給付+社会保険料の免除)
まず全体像です。育休まわりのお金のしくみは、大きく分けて「休みを取れる制度」と「その間のお金を支える給付」の2階建てになっています。名前がむずかしいので、やさしい言葉に置きかえながら整理します。
① 産後パパ育休(出生時育児休業)=生まれてすぐ取れる短期の育休
子どもが生まれた直後、出生後8週間以内に、通算28日(4週間)まで取れる、パパ向けの短い育休です。しかも2回に分けて取れるので、「退院直後に2週間+里帰りから戻るタイミングで2週間」といった使い方もできます。通常の育児休業(原則1歳まで、事情により最長2歳まで)とは別枠なので、産後パパ育休を取ったあとに続けて通常の育休を取ることもできます。
② 育児休業給付金=休んでいる間の生活費を支える給付
育休を取って会社からのお給料が出ない(または減る)間、雇用保険から支払われるお金です。「被保険者(=雇用保険に入っている会社員など)」であることが前提で、給付率は休み始めから180日目までが賃金の67%、181日目以降は50%(いずれも額面=税金などが引かれる前の金額を基準にした割合)です。ここに次の③が上乗せされます。
③ 出生後休業支援給付金=2025年4月新設・手取り10割にする上乗せ
2025年4月1日から始まった新しい給付です。夫婦がそろって育休を取ると、最大28日間、賃金の13%が上乗せされ、②の67%と合わせて合計80%になります。さらに次の④(社会保険料の免除)と、給付金がそもそも非課税(税金がかからない)であることが重なるため、手取りで見ると育休前とほぼ同じ=実質10割相当になります。「収入が減るから取れない」の壁を、国が正面から下げにきた制度です。
④ 社会保険料の免除=見えない手取りアップ
育休中は、健康保険料と厚生年金保険料が本人・会社の両方とも免除されます(一定の条件あり)。免除されても年金の記録は「納めた」ものとして扱われるので、将来の年金が減る心配はありません。給料からいつも引かれている社会保険料がゼロになる分、②③の給付とあわせて手取りが元に近づく——これが「10割相当」のからくりです。
なお、育休から復帰したあとに時短勤務で働く場合には、2025年4月に新設された育児時短就業給付(時短で下がった賃金の一部を支える給付)もあります。制度は毎年のように広がっているので、「自分は対象かも」と思ったら勤務先に確認してみてください。
対象者(だれが・どんな条件で使えるのか)
「うちは対象?」を確かめる、やさしいチェックです。
- 産後パパ育休: 原則としてすべての男性(養子を迎えた場合など女性も対象になるケースあり)。有期雇用(契約社員など)でも一定の条件で取得できます。
- 育児休業給付金: 雇用保険に入っていて、育休開始前の2年間に「賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月」が12か月以上ある人。
- 出生後休業支援給付金: 上の給付金の対象で、パパは子の出生後8週以内、ママは産後休業のあと8週以内に、それぞれ通算14日以上の育休を取ること。つまり「夫婦そろって14日以上」が基本の条件です。ただし配偶者がひとり親・配偶者が無職や自営(フリーランス)・産後休業中・行方不明などの場合は、配偶者側の育休取得は不要で、自分の分だけで受け取れます。
※ 所得による制限(所得制限)は、育児休業給付金・出生後休業支援給付金には基本的にありません(児童手当などとは異なります)。細かな要件は勤務先やハローワークで確認を。
💡 出産後の「お金」でいえば、育休給付とあわせて児童手当の申請も忘れずに。生まれてからの手続き全体像は退院後のパパ育児スタートガイドもどうぞ。
親がやりがちな3つのNG
NG1:「収入がゼロになる」と思い込んで最初からあきらめる
いちばん多い誤解がこれです。実際には育児休業給付金(67%)+出生後休業支援給付金(13%)+社会保険料免除で、最大28日間は手取り実質10割相当。「ゼロになる」ではありません。損失回避の心理で不安が実態より大きく膨らんでいるだけ、という自覚が第一歩です。仕事と育児の板挟みを抜ける時間設計とあわせて、お金の見通しを立てましょう。
NG2:「言い出しにくい」と直前まで会社に相談しない
産後パパ育休は原則休みに入る2週間前までに申し出が必要です(会社の環境整備が整っている場合はより柔軟)。ギリギリだと調整が間に合わず、取れたはずの日数を逃すことも。妊娠がわかった段階で早めに相談するのが得策です。切り出し方は妊娠中こそ夫婦でチーム結成の考え方が役立ちます。
NG3:「給付金は自動でもらえる」と手続きを放置する
育児休業給付金も出生後休業支援給付金も、申請しないと1円も振り込まれません。多くは会社が窓口になってくれますが、必要書類(母子健康手帳の写しなど)は自分で用意する必要があります。「会社任せで大丈夫」と放置せず、次のチェックリストで準備を進めましょう。生まれた直後の手続き全体は子育ては妊娠期から始まるガイドも参考に。
準備するものチェックリスト(申請前にそろえる)
会社やハローワークに出す前に、手元にそろえておくとスムーズなものです。勤務先によって様式が異なるので、最終的には会社の担当窓口の案内に合わせてください。
- ☐ 母子健康手帳(出産予定日・出生の事実がわかるページの写し)
- ☐ 本人名義の振込先口座がわかるもの(通帳やキャッシュカードの写し)
- ☐ マイナンバーがわかるもの
- ☐ 雇用保険被保険者番号(会社が把握。自分では給与明細や雇用保険の書類で確認できることも)
- ☐ 育児休業の申出書(会社の様式。産後パパ育休は原則2週間前まで)
- ☐ 配偶者の育休取得がわかる書類(出生後休業支援給付金で夫婦とも取得する場合。配偶者の勤務先の証明など)
- ☐ 出生を証明できる書類(住民票の写しなど、会社の案内に応じて)
※ 必要書類は勤務先・ハローワークにより異なります。上は一般的な目安です。
申請の流れ5ステップ(妊娠中〜育休後)
ステップ1:妊娠がわかったら会社に「育休を取りたい」と早めに相談
まずは意思表示から。取得したい時期(出産予定日の前後)と、産後パパ育休か通常の育休か、おおよその日数を伝えます。この段階で会社が制度の説明・申出書の様式を用意してくれます。早いほど職場の調整もスムーズです。
ステップ2:出産予定日の2週間前までに「育児休業の申出書」を提出
産後パパ育休は原則2週間前までの申し出が必要です。2回に分けて取る場合は、最初の申し出でまとめて計画を伝えておくとスムーズ。分割の予定も書いておきましょう。
ステップ3:出産したら会社に連絡し、必要書類を提出
赤ちゃんが生まれたら、出生日を会社に報告。母子健康手帳の写しや振込口座など、チェックリストの書類を渡します。夫婦とも育休を取って出生後休業支援給付金を受ける場合は、配偶者の取得がわかる書類も忘れずに。
ステップ4:会社経由でハローワークへ給付金を申請
育児休業給付金・出生後休業支援給付金は、原則として会社がハローワークに申請します(社会保険料の免除は会社経由で年金事務所へ)。自分では書類の記入・押印・提出に協力する形が一般的。振込は申請後、審査を経て行われ、初回は出産・育休開始から少し時間がかかることがあります。
ステップ5:育休中〜復帰後も「延長・時短」の制度をチェック
保育園に入れないなどの事情があれば育児休業は最長2歳まで延長でき、給付金も延長されます。復帰後に時短勤務をするなら育児時短就業給付の対象になることも。ライフステージに合わせて、使える制度をそのつど確認しましょう。復帰後の働き方は働く親の子育て×仕事バランスが参考になります。
産後パパ育休・給付金 まるわかり早見表(2026年7月時点)
| 制度・給付 | 内容(やさしい言葉) | 主な対象・条件 | 窓口 | 期限の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 産後パパ育休(出生時育児休業) | 出生後8週以内に通算28日まで・2回分割OK | 原則すべての男性(有期雇用も条件つきで可) | 勤務先 | 原則休業の2週間前まで申し出 |
| 育児休業給付金 | 休業中の生活費を支援。180日目まで67%/181日目以降50% | 雇用保険の被保険者(加入期間の条件あり) | 会社経由でハローワーク | 育休開始後・会社の申請にあわせて |
| 出生後休業支援給付金(2025年4月新設) | 13%上乗せ→合計80%。社保免除等で手取り実質10割 | 夫婦とも通算14日以上の育休(例外あり)。最大28日 | 会社経由でハローワーク | 産後パパ育休等の取得にあわせて |
| 社会保険料の免除 | 健康保険・厚生年金の保険料が本人・会社とも免除 | 育休を取得(一定の期間条件あり) | 会社経由で年金事務所 | 育休の届出とあわせて |
| 育児時短就業給付(2025年4月新設) | 復帰後の時短勤務で下がった賃金の一部を支援 | 子を養育しながら時短勤務する被保険者 | 会社経由でハローワーク | 時短勤務の開始にあわせて |
※ 金額の上限・割合・条件は改正や年度で変わります。最新は勤務先・ハローワーク・年金事務所でご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 「産後パパ育休」と「育児休業」は何がちがうの?
産後パパ育休は、出生後8週以内に通算28日まで取れる短期・分割向けの特別枠です。通常の育児休業(原則1歳まで、事情により最長2歳まで)とは別に取れるので、「産後パパ育休で退院直後を支え、そのあと通常の育休に切り替える」という組み合わせも可能です。
Q2. 本当に手取り10割になるの?
最大28日間について、育児休業給付金67%+出生後休業支援給付金13%=合計80%(額面)に、社会保険料の免除と給付金の非課税が重なることで、手取りで見ると育休前とほぼ同じ=実質10割相当になります。ただし賃金には上限があるため、高収入の人は満額にならない場合があります。
Q3. 夫婦のどちらかが専業主婦(主夫)でも出生後休業支援給付金はもらえる?
配偶者が無職・自営(フリーランス)・ひとり親・産後休業中・行方不明などの場合は、配偶者の育休取得がなくても、自分の分だけで受け取れます。「夫婦そろって14日以上」が基本ですが、例外が用意されています。
Q4. いつ・どこに申請すればいい?
育児休業給付金・出生後休業支援給付金は、原則会社が窓口になってハローワークへ申請します。社会保険料の免除は会社経由で年金事務所へ。まずは勤務先の担当(人事・総務など)に「育休を取りたい」と伝えるのがスタートです。
Q5. 給付金はいつ振り込まれるの?
申請後、ハローワークの審査を経て振り込まれます。初回は出産・育休開始からしばらく時間がかかることがあるため、その間の生活費は手元資金でまかなえるよう、少し余裕を見ておくと安心です。
Q6. 育休を取ると将来の年金が減らない?
育休中に社会保険料が免除されても、年金の記録は「保険料を納めた」ものとして扱われます。将来の年金額が減る心配は基本的にありません。安心して活用してください。
Q7. 会社に「前例がない」と渋られたら?
産後パパ育休も育児休業も法律で定められた権利で、条件を満たせば会社は原則拒めません。まずは制度の内容を落ち着いて共有し、それでも進まないときはお住まいの地域を管轄する労働局・ハローワークの相談窓口に問い合わせを。心の準備は妊娠がわかったら最初にやる安心準備リストも支えになります。
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まとめ:今日から始める1つだけ
まず避けたい3つのNG
- 「収入ゼロ」と思い込んであきらめる(実際は手取り実質10割相当)
- 直前まで会社に相談しない(原則2週間前まで)
- 「自動でもらえる」と手続きを放置する(申請しないと0円)
覚えておく5つの流れ
- ①妊娠がわかったら早めに会社へ相談
- ②2週間前までに育休の申出書を提出
- ③出産後に必要書類を提出
- ④会社経由でハローワークへ給付金を申請
- ⑤復帰後は延長・時短の制度もチェック
今日からまず1つ:スマホのメモに「育休を取りたい時期(◯月ごろ・◯日くらい)」を書き出して、次に会社の担当と話すときに見せられるようにしておく。これだけで、ためらいの正体だった「言い出しにくさ」と「お金の不安」が動き出します。
育休は「がまん」でも「特別なこと」でもなく、赤ちゃんと家族の最初の時間を守るための、正当な権利であり支援です。手取りが下がらないしくみが整った今、あとは知って、早めに動くだけ。まずは妊娠がわかったら最初にやる安心準備で心を整え、出産に臨むパパの準備で当日に備え、退院後のパパ育児スタートで最初の1か月を乗り切りましょう。この「お金と手続き編」が、あなたの一歩を軽くできたらうれしいです。🌱
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