赤ちゃんが生まれたら、まずやっておきたい手続きのひとつが「健康保険への加入」です。子どもを健康保険に入れておかないと、病院にかかったときの窓口のお金がとても高くなってしまいます。でも「共働きだと、パパとママどちらの扶養に入れるの?」「生まれたらいつまでに、どこで手続きするの?」「必要書類は?」「最近よく聞くマイナ保険証や資格確認書ってどうなるの?」と、分からないことだらけですよね。
この記事では、子どもを健康保険に入れる手続きを、はじめての方でも迷わないようにやさしく整理しました。共働き家庭でどちらの扶養に入れるかの考え方、生まれてから保険証(資格確認書)が手元に届くまでの流れ、そろえる必要書類、そして乳幼児医療費助成とのつながりまで、早見表つきでまとめています。読んだその日から動けるように、ステップと窓口を具体的に書きました。ぜひ最後まで読んで、家族の安心につなげてくださいね。
※この記事は2026年8月時点の情報です。健康保険の細かいルールや必要書類、金額は、勤務先の健康保険組合・お住まいの市区町村によって違うことがあります。手続きの前に、必ずご自身の窓口でご確認ください。
📘 あわせて読みたい「子育てのお金・手続き」シリーズ
出産後の手続きは、健康保険だけではありません。次の3本とセットで読むと、やることの全体像が一気にクリアになります。
- 赤ちゃんが生まれたらやること・出産後の手続き一式ガイド(全体の流れをまず把握)
- 乳幼児医療費助成(子ども医療費)の申請方法ガイド(医療費がぐっと軽くなる制度)
- 児童手当の申請方法ガイド(毎月のお金の支え)
「どっちの扶養に入れる?」で手が止まるのは、あなただけじゃありません
健康保険の手続きでいちばん多い悩みが、「共働きだから、パパとママどちらの扶養に入れればいいの?」というものです。ここで手が止まってしまう人は、とても多いです。決められないまま、気づけば数週間…ということも珍しくありません。
実はこれ、あなたがなまけているわけでも、決断力がないわけでもありません。人は「選ぶ基準がはっきりしないこと」や「どっちが正解か分からないこと」を前にすると、決めるのをつい後回しにしてしまう性質があります。心理学では、これを「決定回避」と呼ぶことがあります。つまり、迷って動けないのは自然な反応だということです。
この記事のあとの章で、「迷ったときの決め方」をはっきりお伝えします。基準さえ分かれば、手は自然に動きます。安心してくださいね。
「入れ忘れたらどうしよう」の不安は、早めの一歩に変えられます
もうひとつよくあるのが、「もし手続きを忘れて、子どもが病院にかかったら…」という不安です。この「あとで後悔したくない気持ち」は、実はとても役に立ちます。行動科学では、先に少しだけ後悔を想像しておくと、人は早めに動けるようになると言われています(予期的後悔)。
「忘れたら大変」と頭の中でぐるぐる悩むより、「今日、勤務先に必要書類を1本メールで聞いておく」——この小さな一歩に変えるだけで、不安はぐっと軽くなります。
💡 この記事のいちばん大事なところ
子どもの健康保険は、原則として「その家庭で主に生活を支えている人=ふつうは年収が多い方」の扶養に入れます。そして、健康保険の扶養と、税金(所得税・住民税)の扶養は別のものです。ここを分けて考えると、手続きはとてもシンプルになります。
そもそも「子どもの健康保険」と「扶養」って何?
むずかしい言葉が多いところなので、まずやさしく整理します。
健康保険に入れると、どんないいことがあるの?
子どもを健康保険に入れると、病院や薬局で払うお金が原則3割だけになります(残りの7割は保険がまかなってくれます)。もし保険に入っていないと、いったん全額(10割)を払うことになり、家計にとても大きな負担になります。赤ちゃんは急に熱を出したり、健診や予防接種で病院に行く回数が多いので、早めの加入がとても大切です。
「扶養に入れる」ってどういうこと?
「扶養に入れる」とは、かんたんに言うと「その人がおもに生活のめんどうをみている家族」として登録することです。子どもは自分で働いて稼いでいないので、パパかママ、どちらかの健康保険に「家族(被扶養者)」としてぶら下がる形になります。子ども側に新しく保険料が増えることはありません。
健康保険の種類でやり方が少し違います
パパ・ママの働き方によって、入る保険と手続き先が変わります。
- 会社員・公務員(社会保険)…勤務先の健康保険組合や協会けんぽ。手続きは会社を通して行います。
- 自営業・フリーランスなど(国民健康保険)…お住まいの市区町村の窓口で手続きします。
共働きで2人とも会社員の場合は、あとで説明する「どちらの扶養に入れるか」を決めてから、その人の会社に届け出ます。
やってしまいがちな3つのNG
手続きでつまずく人には、共通の「あるある」があります。先に知っておくだけで、ぐっとラクになります。
NG① 「どっちの扶養か」を悩みすぎて手続きを後回しにする
いちばん多いのがこれです。悩んでいる間も、赤ちゃんは病院にかかるかもしれません。決め方には原則ルールがあります(次の章で説明します)。まずは動き出すことが大切です。
NG② 健康保険の扶養と、税金の扶養を混同する
「扶養」という言葉は、健康保険と税金の両方で使われますが、中身は別物です。とくに16歳未満の子どもは、税金(所得税)の扶養控除の対象にはなりません(節税にはつながりません)。「税金が安くなる方に入れよう」と考えて健康保険まで判断すると、混乱してしまいます。健康保険は健康保険のルールで決めましょう。
NG③ 保険証(資格確認書)が届く前だからと、病院を我慢する
手続き中でまだ保険証が手元にない時期でも、あとから手続きすれば払いすぎた分は戻ってくる(払い戻し・療養費)のがふつうです。「保険証がないから」と受診をがまんするのは危険です。心配なときは、病院に「手続き中です」と伝えて受診してください。
共働きはどちらの扶養に入れる? 迷わない5つの考え方
ここが多くの人が知りたいところです。順番に見ていけば、必ず決められます。
① 原則は「年収が多い方」の扶養に入れる
共働きの場合、子どもは原則として年収(1年間の収入の見込み)が多い方の健康保険に入れます。これは「おもに生活を支えている人はどちら?」という考え方によるものです。まずはこの原則を思い出しましょう。
② 年収の差が小さいときは「選べる」ことがある
2人の年収の差がおおむね1割以内など、ほとんど変わらないときは、どちらの扶養にするか選べる場合があります。判断のしかたは健康保険によって細かく違うので、迷ったら勤務先の担当者に「うちはどちらに入れられますか?」と聞くのが確実です。
③ 2026年からは「これからの年収の見込み」で判断
2026年4月からは、労働条件通知書(働く時間や時給が書かれた書類)などをもとにしたこれからの年収の見込み額で、どちらが多いかを判断する形に整理されました。産休・育休で今の手取りが減っていても、あわてなくて大丈夫。ルールにそって判断されます。
④ 「保険の付加サービス」もそっと比べてみる
健康保険組合によっては、独自の給付やサービス(医療費の上乗せ補助など)が違うことがあります。年収がほぼ同じで選べる場合は、こうしたサービスの手厚さも比べてみると、家族にとってお得な選び方ができます。
⑤ 迷ったら「基準」を人に聞く。自分だけで抱えない
ここまで読んでも迷うときは、勤務先の総務・人事や、市区町村の窓口に電話一本で聞いてしまいましょう。「基準を教えてもらう」だけで、決定回避のモヤモヤは一気に消えます。パパとママで「どっちに聞く担当か」を先に分けておくと、さらにスムーズです。
生まれてから保険証(資格確認書)が届くまで 加入手続き5ステップ
実際の流れを、順番に並べました。この通りに進めれば大丈夫です。
ステップ1 出生届を出す(生まれてから14日以内)
まずは市区町村に出生届を出します。これが子どものすべての手続きの出発点です。健康保険の加入には子どもの氏名が必要なので、名前を決めて先に届けましょう。くわしくは出産後の手続き一式ガイドもあわせてどうぞ。
ステップ2 「どちらの扶養に入れるか」を決める
前の章の「5つの考え方」を使って、パパ・ママどちらの健康保険に入れるかを決めます。共働きなら原則は年収が多い方。会社員なら、その人が勤務先に届け出ます。
ステップ3 必要書類をそろえて届け出る(できるだけ早く)
会社員は勤務先に「被扶養者(異動)届」を出します。国民健康保険の人は市区町村の窓口へ。1か月健診までに保険の資格が確認できると安心なので、なるべく早めに動きましょう。必要書類は次の早見表にまとめています。
ステップ4 マイナ保険証か「資格確認書」を受け取る
2026年8月からは、病院で使えるのはマイナ保険証(マイナンバーカードを保険証として登録したもの)か資格確認書のどちらかです。従来の紙の保険証は新しく発行されません。赤ちゃんのマイナンバーカードをまだ作っていない場合は、資格確認書が交付されるので、それを病院に持っていけば3割の負担で受診できます。どちらが届くかは加入先で確認しましょう。
ステップ5 乳幼児医療費助成(子ども医療証)を申請する
健康保険に入れたら、続けて乳幼児医療費助成の申請をします。これで、子どもの医療費の自己負担がさらに軽く(多くの自治体で無料〜数百円)なります。健康保険とセットで手続きするのが基本です。くわしくは乳幼児医療費助成の申請方法ガイドへ。あわせて児童手当の申請も忘れずに。
ひと目でわかる 子どもの健康保険 手続き早見表
やること・窓口・準備するもの・目安の期限を1枚にまとめました。スマホに保存して、チェックリストとして使ってくださいね。
| ステップ | やること | 窓口 | 準備するもの | 目安の期限 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 出生届を出す | 市区町村 | 出生届・出生証明書・母子手帳・届出人の本人確認 | 生後14日以内 |
| 2 | どちらの扶養か決める | 家庭で相談 | パパ・ママの年収がわかるもの(見込みでOK) | ステップ3の前まで |
| 3 | 健康保険に加入(被扶養者の届出) | 勤務先の健保/市区町村(国保) | 被扶養者異動届・出生を確認できる書類・マイナンバー | できるだけ早く(1か月健診まで目安) |
| 4 | マイナ保険証/資格確認書を受け取る | 加入した健保・市区町村 | (マイナ保険証にするならマイナンバーカード) | 加入手続き後 |
| 5 | 乳幼児医療費助成を申請 | 市区町村 | 子どもの保険資格がわかるもの・申請書・印鑑等 | 保険加入後すぐ |
※準備するものや期限は、勤務先の健保・自治体で異なる場合があります。事前に窓口へご確認ください。
まちがえやすい「税金の扶養」と「健康保険の扶養」のちがい
手続きでいちばん混乱するのが、この2つの「扶養」です。同じ言葉なのに中身が別なので、ここだけはやさしく整理しておきましょう。表にすると一目でわかります。
| くらべるポイント | 健康保険の扶養 | 税金の扶養 |
|---|---|---|
| 目的 | 子どもが保険で病院にかかれるようにする | 親の税金(所得税・住民税)の計算に関わる |
| 誰の扶養に入れる? | 原則、年収が多い方 | 16歳未満は控除の対象外(どちらでも節税効果なし) |
| 子どもが生まれてすぐ必要? | はい。早めの加入が大切 | いいえ。あわてなくてよい |
| 窓口 | 勤務先の健保/市区町村 | 年末調整・確定申告 |
ポイントは1つだけ。生まれてすぐ動くのは「健康保険の扶養」です。税金の扶養は、16歳未満のうちは控除がないので、あわてて考えなくて大丈夫。「病院にかかれるようにする手続きが先」と覚えておけば、迷いません。
住民税の申告で名前を書く場面もあります
16歳未満は所得税の控除こそありませんが、住民税が非課税になるかどうかの判定などで、子どもの名前を年末調整の書類に書く場面はあります。「税では意味がないから一切書かない」ではなく、会社から案内された欄には記入しておきましょう。分からなければ勤務先に確認すればOKです。
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保険証(資格確認書)・子ども医療証・診察券・母子手帳は、まとめて持ち歩けると受診がぐっとラクになります。わが家で実際に使ってよかった「母子手帳ケース」「診察券・保険証をまとめるマルチケース」など、育児グッズは楽天ROOM(papasuta-room)にまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q1.子どもの保険加入は、いつまでにすればいいですか?
法律で「何日まで」と一律に決まっているわけではありませんが、1か月健診までに保険の資格が確認できる状態にしておくと安心です。会社によっては「出生から5日以内に届け出を」と目安を設けているところもあるので、勤務先に確認しましょう。とにかく早めが安心です。
Q2.共働きです。私(ママ)の方が年収が高いですが、私の扶養で大丈夫?
はい、大丈夫です。健康保険は「性別」ではなく「おもに生活を支えている人(原則、年収が多い方)」で判断します。ママの年収が高ければ、ママの健康保険に入れるのが原則です。
Q3.産休・育休中で今は収入が少ないのですが、どうなりますか?
一時的に手取りが減っていても、これからの年収の見込みで判断されるのがふつうです。あわてて扶養を変える必要はありません。判断に迷うときは勤務先の担当者に相談しましょう。
Q4.紙の保険証はもうもらえないのですか?
2025年12月以降、従来の紙の健康保険証は新しく発行されなくなりました。2026年8月からは、病院で使えるのはマイナ保険証か資格確認書です。マイナンバーカードを保険証登録していない場合は、資格確認書が交付されるので、それを使えば今まで通り3割負担で受診できます。
Q5.赤ちゃんのマイナンバーカードは作った方がいいですか?
作っておくと、マイナ保険証として使えたり、子ども医療費の手続きがスムーズになる場面があります。ただ、作っていなくても資格確認書で受診できるので、あわてなくて大丈夫です。ご家庭のペースで検討しましょう。
Q6.保険証(資格確認書)が届く前に病院にかかったら、お金はどうなりますか?
いったん窓口で全額を払っても、あとから健康保険に「療養費」として請求すれば、払いすぎた分(7割)は戻ってきます。領収書は必ず取っておきましょう。手続き中でも受診をがまんしないでくださいね。
Q7.健康保険に入れると、児童手当や医療費助成も自動でついてきますか?
いいえ、それぞれ別に申請が必要です。健康保険(加入先)/児童手当(市区町村)/乳幼児医療費助成(市区町村)は、窓口や届け出先が違います。出産後にまとめて動くと効率的です。出産後の手続き一式ガイドで全体像を確認しておきましょう。
✅ この記事のまとめ
- 子どもの健康保険は、原則「年収が多い方」の扶養に入れる。年収がほぼ同じなら選べることも。
- 健康保険の扶養と、税金の扶養は別物。16歳未満は税の扶養控除の対象外。
- 流れは①出生届→②扶養を決める→③保険に加入→④マイナ保険証/資格確認書→⑤医療費助成の5ステップ。
- 2026年8月からはマイナ保険証か資格確認書で受診。紙の保険証は新規発行なし。
- 保険証が届く前でも、あとから払い戻し(療養費)ができるので受診をがまんしない。
おわりに
健康保険の手続きは、言葉がむずかしくて身構えてしまいますが、やることの順番さえ分かれば、実はとてもシンプルです。大事なのは「完ぺきに理解してから動く」ことではなく、「今日、小さな一歩を出しておく」こと。勤務先に必要書類を聞くメールを1本送るだけでも、前に進みます。
共働きで「どっちの扶養?」と迷ったら、原則は年収が多い方。迷いが消えないときは、窓口に基準を聞いてしまえば大丈夫です。パパとママで役割を分けて、二人で乗り切ってくださいね。あなたの家族の安心を、心から応援しています。
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