「今日、学校どうだった?」→「ふつう」。
「何か困ってることある?」→「べつに」。
子どもとの会話がそこで止まってしまい、本当の気持ち(本音)にたどり着けない…そんなもどかしさを感じたことはありませんか。
この記事は、子どもが話してくれない・本音がわからないと悩んでいるママ・パパに向けて書きました。
本音を話してもらえるかどうかの違いは、「質問のうまさ」ではなく「聴くときの姿勢」にあります。
この記事では、親が「決めつけない・すぐに答えを出さない・話をさえぎらない」で、子どもの言葉や気持ちを鏡のように映し返す聴き方を、5つのコツと年齢別のフレーズ集でお伝えします。
カウンセリングで使われる「リフレクション(映し返し)」という方法を、家庭で使いやすい形にしたものです。
この記事は「三世代の家族関係を整える三部作」の【今の子と通わせる編】です。
妊娠中からの夫婦の準備は「妊娠がわかったら最初にやる安心準備リスト5ステップ」、自分の親との距離感は「親世代との距離感を整える5つの整え方」もあわせてどうぞ。
三世代の家族関係を整える三部作で『次世代・今の子・親世代』の3つの関係を整える
- 【次世代を迎える編】「妊娠がわかったら最初にやる安心準備リスト5ステップ」
- 【今の子と通わせる編】この記事:子どもの本音を引き出す親の聴き方5つのコツ
- 【親世代と整える編】「親世代との距離感を整える5つの整え方」
なぜ「鏡のように聴く」と、子どもは本音を話してくれるの?
子どもが本音を話さないのは、「話す気がない」からではありません。
「話したら否定される」「さえぎられる」「答えを押しつけられる」と、前にそう感じたことを覚えているからです。
心理学では、「何を言っても大丈夫」と思える安心感のことを「心理的安全性」と呼んでいます。
つまり、「受け止めてもらえる」と感じられないと、人は本音を出せないということです。
これは大人も子どもも同じですよね。
鏡のように聴くとは、子どもの言葉と気持ちを、そのまま映して返すことです。
たとえば子どもが「今日、学校イヤだった」と言ったら、「そっか、学校イヤだったんだ」と返すだけ。
これだけで子どもは「わかってもらえた」と感じます。
そして、自分から「実はね、〇〇くんにこう言われて…」と続きを話してくれるのです。
聴き方のほかのコツは、「子どもの話を本当に聴く5つの技法」、「聴く力を育てる親の黙る技」、「親が聞くから始まる子育て」も参考にしてください。
この記事では、「映し返す聴き方」にしぼってお伝えします。
いちばん大事なこと:本音は「質問」で引き出すものではなく、「映し返す」ことで開いてもらうもの。親が鏡になって子どもの言葉と気持ちを返すと、子どもは自分で心の奥の本音にたどり着きます。
親がやりがちな3つのNG(本音を閉ざしてしまう行動)
NG1:決めつける(「そんなことでイヤなの?」「甘えてるよ」)
子どもが話し始めたとたんに「そんなことで」「甘えてる」「考えすぎ」と言ってしまうと、子どもは「話さなきゃよかった」と感じます。
そして、次から本音を話してくれなくなります。
そう思ってしまうのは、親として自然なことです。
大切なのは、口に出す前に5秒だけ止めること。
くわしくは「ありのままを受け入れる5つのコツ」を参考にしてください。
NG2:すぐに答えを出す(「じゃあこうすれば?」「〇〇に言いなさい」)
「困った」と聞くと、親はすぐに解決の方法を言いたくなりますよね。
でも、これは子どもがいちばんイヤがる返し方です。
子どもは「聞いてほしい」「気持ちをわかってほしい」だけのことが多く、答えは自分で持っていることがほとんどです。
「どうしたい?」「何ならできそう?」と聞き返すのが正解です。
くわしくは「あなたメッセージ→わたしメッセージ」のお願いの伝え方も参考にしてください。
NG3:話をさえぎる(「前にも言ったよね」「でもそれは」)
子どもが話している途中で「前にも」「でも」「そう言うけど」とさえぎると、子どもは「話してもムダだ」と感じて、すぐに話をやめてしまいます。
途中で口をはさみたくなるのは、親が「話を思いどおりに進めたい」と思っているサインです。
子どもが一言いい終わるまで黙ることを意識するだけで、本音への扉が開きます。
くわしくは「親の黙る技」を参考にしてください。
子どもの本音を引き出す5つの聴き方のコツ
1. 表情と姿勢を子どもに合わせる
最初の一歩は、言葉ではなく、体で合わせることです。
子どもがしょんぼり座っていたら、親も同じ目の高さで、ゆっくり座ります。
子どもが早口で興奮していたら、親もうなずくリズムを合わせます。
こうして「同じ気持ちでいるよ」を体で伝えるのがポイントです。
これだけで子どもは「わかってくれている」と感じて、口を開きやすくなります。
くわしくは「体で聴く・言葉以外のコミュニケーション」を参考にしてください。
2. 子どもの言葉を、そのままくり返す
子どもが言った大事な言葉を、そのままくり返すだけで、子どもは「受け止めてもらえた」と感じます。
たとえば、子ども「〇〇くんに無視された」→親「無視されたんだ」。
質問に変えず、決めつけず、そのまま映して返すのがコツです。
すると子どもは「うん、それでね…」と、自然に続きを話せます。
「子どもの話を本当に聴く5つの技法」の「気持ちに名前をつける」と組み合わせると、さらに効果的です。
3. 気持ちに名前をつけて返す
子どもが出来事だけを話しているときは、親が「そのとき、悲しかった?くやしかった?」と気持ちに名前をつけて返してみましょう。
気持ちを言葉にすると、心が落ち着きやすくなることが、脳の研究でもわかっています。
「〇〇な気持ちだったのかな?」と、たずねる形で返すのがポイントです。
すると子どもは「そう、くやしかった」と、本音をはっきり言葉にできます。
くわしくは「前向きな声かけ」の気持ちの伝え方も参考にしてください。
4. 沈黙を5秒待つ
いちばん見落としやすいのが、「黙って待つ」ことです。
子どもが黙ったら、親も黙ります。
この5秒が、子どもに「考える時間」「心の奥の言葉を探す時間」をくれるのです。
多くの親は沈黙にたえられず、「何があったの?」「言いたくないの?」と質問を重ねてしまいます。
すると、子どもの本音は閉じてしまいます。
沈黙は気まずい時間ではなく、心が近づいている時間だと覚えておくと、待てるようになりますよ。
くわしくは「親の黙る技」を参考にしてください。
5. 「で?」「それで?」だけで続きをうながす
子どもの話がひと区切りしたら、「で?」「それで?」「うんうん」だけで続きをうながします。
「どうしてそう思ったの?」「なんで?」と聞くと、子どもは「理由を答えなきゃ」と身がまえてしまいます。
「で?」には、親の決めつけが入りません。
子どもの話の流れに、そのまま乗っていく合図になります。
これだけで子どもは「パパ・ママは私の話に興味があるんだ」と感じて、奥の本音まで話してくれますよ。
くわしくは「親が聞くから始まる子育て」を参考にしてください。
年齢別「映し返す聴き方」フレーズ集 早見表
| 年齢 | 子どもの様子 | そのまま使えるフレーズ例 |
|---|---|---|
| 0〜2歳 | 言葉より表情・身ぶりで気持ちを伝える | 「悲しいんだね」「〇〇したかったんだね」と気持ちを言葉にして返す(気持ちに名前をつける) |
| 3〜5歳 | 出来事をとぎれとぎれに話す | 「〇〇くんが〇〇って言ったんだ」(そのままくり返す)→「そのとき、どう思った?」(気持ちに名前をつける) |
| 6〜9歳 | 話す力が伸びる・本音とたてまえが出てくる | 「そっか、〇〇だったんだね」→5秒待つ→「で?」で続きをうながす(沈黙を待つ) |
| 10〜12歳 | 自分の考えが強くなる・親に話さなくなってくる | 「そう思うんだ」(決めつけずに受け止める)→「何があったの?」ではなく「話したくなったら聞くよ」(待つ姿勢) |
| 13歳〜 | 思春期・友だちが大事・親との間に壁ができる | 「話してくれてありがとう」→「で、どうしたい?」(子どもが決める)→「応援するよ」(口は出さずに見守る) |
よくある質問
Q1. そのままくり返していると、わざとらしくなりませんか?
全部をくり返すと、わざとらしくなります。
コツは「大事な言葉だけ」をくり返すことです。
子「〇〇くんに無視されて、ほんとムカついた」→親「ムカついたんだね」。
大事な言葉を1つ拾うだけで、自然な会話のリズムを保てます。
くわしくは「子どもの話を本当に聴く5つの技法」も参考にしてください。
Q2. 沈黙が苦手で、つい質問してしまいます
沈黙が苦手なのは、親が「間をうめたい」と感じているからです。
「5秒だけがまんする」「心の中で5まで数える」と決めると、練習しやすくなります。
最初はうまくいかなくても大丈夫。
続けるうちに、「この沈黙は、子どもが考えている時間なんだ」と感じられるようになります。
くわしくは「親の黙る技」を読んでみてください。
Q3. そもそも子どもが話してくれないときは、どうすればいい?
話してくれないときに、無理に聞き出そうとするのは逆効果です。
「今は話したくないんだね。話したくなったら、いつでも聞くよ」と、「話さない」という気持ちも受け止めるのが、この聴き方の基本です。
これだけで子どもは「この親はいつでも聞いてくれる」と覚えて、別のタイミングで自分から話し始めてくれます。
くわしくは「親の居場所5」の「待つ姿勢」も参考にしてください。
Q4. 親がイライラしているときでも、映し返せますか?
イライラしているときは、映し返すのはむずかしいです。
「あ、今カッとなってる」と気づいたら、まず深呼吸を1回するのがいちばんです。
「ごめん、ちょっと待って。落ち着いてから話そう」と、いったん区切ってもOK。
まず親が落ち着くことが先で、聴くのはそのあとです。
くわしくは「怒りスイッチをオフにする方法」の6秒ルールも参考にしてください。
Q5. 聴いてばかりで、アドバイスはいつすればいい?
アドバイスは「子どもが求めたとき」だけにしましょう。
「どう思う?」「どうしたらいいかな?」と子どもから聞かれたら、そこで初めて「パパはこう思うけど、〇〇ちゃんはどう思う?」と、提案の形で伝えます。
求められていないアドバイスは、子どもには「押しつけ」に聞こえてしまいます。
くわしくは「親のサポートの境界線」も参考にしてください。
Q6. 思春期で何も話してくれない子にも効きますか?
効きます。
思春期は、「話さない」という選択を大切にすることが、いちばんの映し返しになります。
「今は話したくない気分だよね」と認めるだけで、子どもは「わかってもらえている」と感じます。
向かい合って話すより、車の中・夜の散歩・夜食を一緒に食べる時間に、ぽろっと話してくれることが多いですよ。
くわしくは「はじめての思春期・親子の絆」を参考にしてください。
Q7. きょうだいがいると、1人ずつゆっくり聴く時間がとれません
短い時間に集中すれば大丈夫です。
「1日3分の1対1の時間」を、寝る前や朝の通学路でつくるだけで、本音への扉は開きます。
3分でも、その子だけに100%向き合うと、ながら聞きの30分よりずっと深くつながれます。
くわしくは「忙しくても深まる親子のふれあい」も参考にしてください。
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まとめ:今日から始める1つだけ
NGのおさらい3つ
- 決めつける(「そんなことでイヤなの?」「甘えてるよ」)
- すぐに答えを出す(「じゃあこうすれば?」「〇〇に言いなさい」)
- 話をさえぎる(「前にも言ったよね」「でもそれは」)
子どもの本音を引き出す5つの聴き方
- 表情と姿勢を子どもに合わせる
- 子どもの言葉を、そのままくり返す
- 気持ちに名前をつけて返す
- 沈黙を5秒待つ
- 「で?」「それで?」だけで続きをうながす
今日からまず1つ:今夜、子どもが何か話してきたら「〇〇だったんだね」と大事な言葉を1つくり返すだけ。質問もアドバイスもしない。それだけで、子どもの言葉が止まらずに続いていきます。
本音は「質問」で引き出すものではなく、「映し返す」ことで開いてもらうものです。
親が鏡になることで、子どもは自分で心の奥の言葉を探す時間を持てて、自然に本音にたどり着きます。
妊娠中からの夫婦の準備は「妊娠がわかったら最初にやる安心準備リスト5ステップ」、自分の親との距離感は「親世代との距離感を整える5つの整え方」とあわせて、妊娠中から思春期まで続く家族の土台を整えてみてください。
子どもの心は、「質問」ではなく「鏡」で開きます。
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